透明人間の蒸気(ゆげ)
新国立劇場で野田秀樹作・演出「透明人間の蒸気」を。お芝居であんなにも寂しく広大な砂丘が表現されるものかと驚きました。そして砂丘に住む、なんでも純真に信じてしまう盲目の美少女ヘレン・ケラを演ずる、宮沢りえちゃんがすごくいい! 詐欺師の言葉を信じようとし、信じきれない自分に傷つくケラのけなげさに泣かされました。
この作品は13年前、バブル真っ只中に初演されたもの。再演にあたり、野田氏が朝日新聞のインタビューで「僕自身が作家だし、ウソをつく詐欺師側の気持ちで書いた。でも今は少女の善意に心が寄り添っていく。バブル時代の甘さが消え、喜劇が悲劇になった」 とおっしゃっています。すごく悲しい結末でしたよ。13年前に見ている人の感想をこそ聞いてみたい気がします。
ただお芝居はほとんど見たことのない私は、すごい話の展開に目がしろくろ。時間軸と劇中劇、現実とファンタジーが入り混じってよくわからんかった・・・ 内容もぎっしり。天皇制・黄泉の国・言霊・憎悪・愛・戦争・アメリカ、ロミオとジュリエットに奇跡の人に神話の世界、最先端の演劇(13年前のものだけど)ってこんなにぎっしりいろんなものがつめこまれているものなんでしょーか。なんかすごい「からだをはってる」っていう印象を受けたのですが(なにしろカーテンコールで役者さんたちが地平線の彼方から走ってくるように見える)、うーん、もう二へんくらい見ないと感想になりません・・・ やっぱり私は歌舞伎座の観客なのかなー。
歌舞伎といえば、パンフレットに野田氏と勘九郎氏の対談が載っていました。野田氏曰く「歌舞伎が本当の意味で日本の演劇のど真ん中に座った時に、日本の演劇が変わる」とのこと(勘九郎氏談)。ドリフも歌舞伎のまわり舞台を参考にしたっていうしね、だから歌舞伎がどうのって言いたいわけじゃなくて、最先端のクリエーターっていうのは、違う分野に常に気持ちを開いているんだなーということをあらためて感じました。
そんで今日覚えた英単語。「matrimonial swindler」結婚詐欺師。

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