亀治郎のカーテンコール

 調べないで書きます。間違いがあっても知りません。今日は国立劇場で亀治郎の会を。「俊寛」と「京鹿子娘道成寺」。

 すごかったのは「道成寺」のカーテンコールである。亀治郎は恋に狂ってストーカーの妖怪と化した女のキャラのままで客席にこたえたのである。

 白拍子花子は、拍手喝采の観客の前で、困惑していた。いったいこの人たちはなに・・・? って感じで。そうして戸惑いながら右を見、左を見、花道にわたり、花外を振り返り、首をかしげ、ほんのすこうし、ほんのすこうしずつ、「この人たちはあたしを支持してるんだ・・・」と、ほんのすこうしだけ客席に心を開くのである。狂喜した観客は思わず立ち上がる。最後に舞台の中央で、いずまいをただし両手をつき、頭をさげ、顔をあげたその口元がちょっとだけ微笑んでいて、亀治郎はその口元だけに役者亀治郎の姿をわざとのぞかせた。バレエのカーテンコールと似てると思った、イサドラ・ダンカンを演ったマヤ・プリセツカヤのカーテンコールを思い出した。

 道成寺は最初の小僧さんたちの問答がはぶかれていて、いきなり白拍子が寺の門の外に現れるところからはじまった。ありがたや。小僧さんたちの問答、長いのよね。しかも門の書き割りもちゃんとあって、わかりやすい。亀治郎丈の踊りは、玉三郎丈の踊りよりもっと演劇的な気がした。玉サマのは、もっと音楽を目で見ているような感じがする・・・ そして道成寺だろうと揚巻だろうとなにをやっても玉サマのような気がする(と、今日亀サマの道成寺を見てそう思った)。

 「俊寛」は前に見た幸四郎丈のときと違って都からの赦免の船が下手の岩陰からでてきた。

 前にみたときは上手からで船ももっと大きくて、都の権力を象徴するようにもっと圧迫感があった。そのせいもあるのか、前にみたときは俊寛は、島流しにあって家来たちは都に帰れるのに自分だけ取り残されて、ただかわいそうな人に見えた。今日のは、すごく葛藤したり錯乱したりとりみだしたりしながらも、極限状態の男のプライドとか意地とかが強調されていて、壮絶でした。ある意味、爽快だった。

 今日は国立劇場初体験。きれいで広くて気持ちがいい! でも歌舞伎座ほどお菓子が売っていません・・・。

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海老サマの狐

 土曜日の「義経千本桜」、ずーっとなんかみたいなんだよなーと思ってて、でもいい言葉が思いつかなかったんだけど、やっとぴったりの言葉を思いついた。

 罰ゲーム。

 粋でいなせで気風のいい火消しが、仲間内の罰ゲームで狐のコスプレを着て裏声でなんかしゃべってるみたいな感じだったのだ。そういう感じだったのだ。すごく楽しめましたけど。

 ああすっきり。

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義経千本桜@新橋演舞場

 今日は一日家にいて台所の整理&そうじをしようと思う。おおそうじの季節ですよ! もっと広く使えるはず。といいながらもひとつからだが動かなくて洗濯機をまわしながらだらだらネット。

 土曜日は新橋演舞場へ。海老サンの忠信はなんかしらんけどおかしかった。今回は後方の花道の近くの席でみたんだけど、カーテンががばっとあいてエビさんがあらわれただけで笑ってしまった。あんなエラソーで気風のいい狐(の化けた家臣)がいるものであろうか。特に前半の家臣(のふり)をしてるところがもうおかしくておかしくて。絶対、猿之助丈はこういうつもりじゃなかったと思う。なにをやっても、「睨み」とか「暫」に見えちゃうのである。誰かが冗談で「もう猿之助は泣いてがっかりしちゃうよ」と言ってたけど、病をおして若者に伝授した技がこのように継承されるとは(笑) 後半のアクロバティックな動きはさすがに若者である。しかし狐というよりは男前の火消しのようであった。

 新橋演舞場はちょっと苦手。なんか小洒落てて・・・。歌舞伎座のほうがやっぱり好きかも。改装されたらどうなるのかな。あの座席の狭さは私でもつらいし、上の方の席はエレベーターもなくてお年寄りにはつらかろう。改装したほうがいいのはわかってるんだけど、どうなるのかちょっとドキドキである。

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伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)@歌舞伎座

 吉例顔見世大歌舞伎 昼の部「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」を歌舞伎座で。いやーよかった。あったかい感じの菊五郎の政岡、憎々しい仁左衛門の八汐、うってかわって女らしい三津五郎、團十郎丈復活おめでとう、そして忘れてならないのがこの人、戦うおじいちゃん、段四郎丈。なんか役者さんがみんな大人で落ち着いていてあぶなげがなくて、ほんとに安心してゆったり楽しめました。今回も飯炊きのシーンはなかった、残念。

 私これ通しで見たかったんですよ。どうもあの有名な場面だけ見てもぴんとこなくて。

  有名な「足利家御殿の場」は、幼い主君を守るために、わが子が目の前で殺害されても知らぬ顔をする乳母の、葛藤とか慟哭とかが見どころ。でも私は、どうもそこまでの忠義というのがよく理解できなくて、名演技もなにもぜんぜんぴんとこなかったんです。それが今回、全幕通しで見たら、ぜんぜん違う見え方をした。

 まず5幕がそれぞれ全く印象が違う。

 1幕「花水橋」の場は真っ暗な夜の闇、悪党におそわれる頼兼の優雅さがきわだつシーン。

 2幕「竹の間」はお城のお部屋で、若君を囲んできれいなおねえさんがいっぱい。でも女たちのあいだでは陰謀がどろどろと。

 3幕「御殿」は狭くて圧迫感のある部屋。乳母の息子が若君の身代わりになって毒入りお菓子を自ら食べたうえ、証拠隠滅のため殺害される。この子どもがけなげなわけですよ。そして政岡が子どもの死体にすがりついて「でかしゃった、でかしゃった(よくやったよくやった)」と慟哭するわけですよ。

 4幕「床下」、こんどはいきなり床の下。謀反の連判状をとりあって、悪党の化けた鼠と頼もしい家臣が戦う。

 5幕は問注所での「対決・刃傷」、こんどは男ばかりで陰謀ドロドロ、陰謀にかたをつけようと悪党が忠臣のおじいさんに切りかかる。おじいさんお腹をさされて手がぶるぶるふるえてるのに扇一本で応戦したうえ、一応、勝ってしまうのであった。

 こうして見ると、確かに3幕「御殿の場」だけが上演される機会が多いっていうのはもっともなんだけど、1幕の遊び人になりさがってしまった当主と、5幕のたてまえ満載の男達のやりとり、そして戦うおじいさん、の場面がくわわると「我が子を犠牲にする乳母の葛藤と慟哭」ってだけじゃなくて、ほら、

 女と子どもと年寄りという、社会のマイノリティが若君を守るために活躍する痛快アクションドラマ

 に見えてきやしませんかっ。

 と言ったら、歌舞伎通のお友達に「伽羅先代萩を見てそんなこと言うひといない」と笑われました(笑) んでも面白かったです。今月は新橋演舞場の花形歌舞伎、国立劇場の忠臣蔵にくらべてちょっと地味な感否めない歌舞伎座ですが、なかなかどうして、こっちは大人の歌舞伎です。チケットは手にはいりやすそう、まあそう言わずに、こっちにも足を運んでくださいな。と思います。海老サンの宙乗りは見にいく予定。

吉例顔見世大歌舞伎
チケットウェブ松竹

 面白かったので配役もコピーしておこう。

花水橋 足利頼兼  福 助
      絹川谷蔵  歌 昇
竹の間・御殿
      乳人政岡  菊五郎
      沖の井   三津五郎
      鳶の嘉藤太 弥十郎
      栄御前   田之助
      八汐   仁左衛門
床下
     仁木弾正  團十郎
     荒獅子男之助  富十郎
対決・刃傷
     細川勝元  仁左衛門
     渡辺外記左衛門  段四郎
     渡辺民部  友右衛門
     笹野才蔵  門之助
     山中鹿之助 権十郎
     山名宗全  芦 燕
     仁木弾正  團十郎

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南総里見八犬伝@歌舞伎座

 八月大歌舞伎第三部。大好きな滝沢馬琴。いつも昼夜二部制なんだけど、今月は三部制。この夏は戌年にちなんだ演目なんだとか。6時から9時半まで、5幕11場(発端とか大詰とかいれて)の大長編。

 犬にとらわれるお姫様、八つの光り輝く玉、名刀、復讐、怨念と濃いぃ要素はてんこもりなんだけど、演出も美術もすごくシンプルで、宙乗りだとかの大技はいっさいなし、舞台としてはほんとに役者さんを見せるために作られているという印象。

 しかしいかんせん、その役者さんたちが薄かった・・・。これむずかしいですね。お話自体は壮大なファンタジーなのに、演出はシンプルすっきり、っていうのは。断片的に福助丈の犬坂毛野、亀蔵丈の馬加大記、三津五郎丈の犬山道節・網干左母二郎がよかった。

 若い役者さんは、からだ自体が、動きも含めて文字通り「薄い」感じがしてしまうのは否めない。歌舞伎の衣装(というか和装)や動きって、中年以降のからだに肉がついてきている感じのほうが迫力があります。海老蔵丈の助六だって、正面から見ると美しいのだけれど、上から見ると紙っぺらみたいにペラペラなんですよ。隣がすごいゴージャスな衣装を着倒した玉三郎丈の揚巻だったりすると、からだの厚みがないのが一目瞭然。っていうかフツー上からは見ないか。勘三郎丈のからだや動きからくる存在感ってやっぱりすごいんだなって思ったり。

 とぶちぶち言いつつ、それでも、夏の夕暮れにぼーっと八犬伝の世界にひたるのは私はなかなか気持ちよかったんです。へんにギトギトしてない、すっきりした舞台をやりたかったんだ、っていう、意図は(意図したのだとしたら)、私は好ましかった。精進あるのみですね!

 そんなわけで久しぶりの歌舞伎観劇でした。長時間なので、それなりに腰に来ました。観劇やコンサートは一月おきくらいがせいぜいかな。10月はラインハルト・ゲーベルのバッハを聞きに行くので、次の歌舞伎観劇は12月になっちゃいそう。

 ていうかもう年の瀬かいっ。

八月納涼歌舞伎 第三部 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)

犬山道節、網干左母二郎・・三津五郎
伏姫、山下定包・・扇雀
浜路、犬村角太郎・・孝太郎
犬塚信乃・・染五郎
犬川荘助・・高麗蔵
犬江親兵衛・・松也
荘官大塚蟇六・・源左衛門
滸我成氏・・錦吾
簸山宮六、馬加大記・・亀蔵
金碗大輔・・秀調
犬飼現八・・信二郎
犬田小文吾・・弥十郎
犬坂毛野・・福助

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5月歌舞伎座のチケットとった

 5月6日(土)の昼・夜とおしという暴挙にでました。いっぺんやってみたかったのです。ワーグナーのオペラの上演時間が5時間なんていうのに驚いてちゃいけません。歌舞伎座のお客さんの中には、毎月、朝の11時から夜の9時半までとおしで見るという人がわりと(多くはないかもしれないけど)フツーにいるのです。

 去年の大晦日の「ベトベン全交響曲連続演奏会」で、三枝さんが「こんなことができるのはお客様の足が確保できる大晦日だけです」と熱く語ってらしたけど、単に11時からはじめて9時に終わればいいだけじゃないかと思ったのはないしょです。年に何度もやるような企画ではもちろんないので、比較はできませんけど。

 GWの予定はいまのところ、

5月4日(木) モーツァルト祭り
5月5日(金) ボリショイ・バレエ
5月6日(土) 歌舞伎座

 もうそれくらいにしておとなしく家にいましょうよ>私。サッカー? サッカー・・・ 

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四月大歌舞伎昼の部

 2日目に行ったのだけど、書きそびれていたのを今頃アップ。

 今月は六世中村歌右衛門の五年祭ということ。五年前って、歌舞伎はぜんぜん見たことなかったので、歌右衛門という人が亡くなったということがどういうことか少しもわからなかった。ずっとあとになって、山川静夫さんの「歌右衛門の疎開」を読んだくらい。歌右衛門丈をよく知るファンなら痛ましく感じるのに違いないエピソードも、山川さんの語り口でおかしみとかなしみのあるおとぎ話のように読んだ記憶がある。疎開の話がおとぎ話のように見えるなんて、逆に舞台の上で生きる人をよくあらわしているように思って面白かった。これはいろいろな人のエピソードをもりこんだエッセイ集。楽しいよ。今週は、「歌右衛門の六十年」を読もっと。

 そんで四月の歌舞伎座。「狐と笛吹き」は北条秀司の昭和の作品で(たぶん)、「沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)」は坪内逍遥の明治の作品。北条秀司という人はちょっと面白いと思った。「レトロ演劇」みたいに見えちゃうのはしょうがないんだけど、おおらかで歌舞伎マインド満載なお話。

 坪内逍遥とか、大沸次郎は苦手です。ここで泣けとか笑えとか、受取り方を強要されてるような感じがしてしまうのだ。なんか古く感じてしまう。鶴屋南北はぜんぜん古い感じはしないのに。にしても、どうも私は話にばっかりこだわってしまって、役者さんをちゃんと見ない傾向にあるな。どっちも音楽が生演奏じゃなかったところがちょっと不満。

 高尾はおぼえてません。たぶん寝たみたい(私が)。きっとよかったはず。後悔してます。申し訳もございませんていうか。

 関八州繋馬(かんはっしゅうつなぎうま)は面白かった。魁春丈が好きなんですよ。あのアイラインはどうなってるのかしらんと双眼鏡でじっくり見てしまいました。舞台の上はほとんど「人おおすぎ」カーニバル状態、おしげもなく繰り出される蜘蛛の糸、こういう襲名興行もあるなーって思って楽しかった。玉太郎君の舞台挨拶もかわいらしかった。

 来月は昼・夜とも行くつもり。

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三月大歌舞伎昼の部

 吉例寿曽我と義経千本桜から吉野山を見たら満足してしまって、菅原伝授手習鑑の道明寺は見ずに帰ってきてしまった。

 どうも私は、歌舞伎座の正面からはいった日には集中力にかける。高価な席でもないし、まあいっか・・・ と思ってしまうのである。これが2時間も並んで横からはいって、幕見席に座った場合は別である。眠かろうが疲れていようが意地でも最後まで見ていくのである。かけた労力の分だけ回収しようとしているかのようである。貧乏性なのである。

 幕見席の客は熱い。みな、かけた労力の分だけ回収しようとしている。1時間から2時間も並ぶとか、立って見るとかいう面倒くささを厭わない人たちである。そうして眠ければ容赦なく爆睡する。寝るのも快楽のうちである。この寒いのに(暑いのに)2時間も並んでやっとはいれたんだから。

 いっぺんこんなことがあった。勘三郎丈だったか海老蔵丈だったか、とにかく話題になっていた人の出演する日に、歌舞伎は初体験らしいカップルが幕見席の最前列に座っていた。男性のほうはからだが大きい人で、あの小さな座席で居心地悪そうにもじもじしたあげく、膝に肘をついて前傾姿勢をとることで落ち着いた。すると後列からいきなし、「ちょっと! おにいさんそれじゃ見えないんだよねっ」と語気荒く言うものがあった。いかにも歌舞伎ファン歴ン十年というおやっさんであった。

「す、すんません」 

 もじもじとからだを座席におしこめるおにいちゃん。私は感動した。いまどき、そんなふうに、やってはいけないことをただしてくれるおやっさんがいるであろうか。オペラの劇場でおなじことがあっても、私なら言わない。なんかめんどくさい。舞台が見えなければ音楽に集中するか、指揮者を見るだけのことである。

 さて、その日の演目に激しくお涙頂戴の人情噺があった。話も過剰なら演出も過剰、演技も過剰で、ちょっと舞台を見ている人なら「こりゃやりすぎっちゅーものだんべ?」と首をかしげたくなるようなものであった。しかしそのおにいちゃんは

 号泣したのである。

 ほんとにおいおいと声をたてて泣いちゃったのである。となりで彼女がニヤニヤしてハンカチを差し出していた。涙もろい青年なのであろう。私は思わず後列をふりかえった。私は見た。先に注意をしたおやっさんが、あたたかい目でおにいちゃんを見守り、「うむ。許す」とばかりににっこりとうなずくのを。

 いやほんとにうなずいたってば! 絶対! ほんとに。

 こういう光景を、正面からはいったときには見たことがない。幕見席の人々は、全身全霊で観劇を楽しんでいる。私はちょっと、そういう気持ちを忘れているかもしれない。

 さて今日のお楽しみ。吉例寿曽我は敵味方がいろんな趣向を見せながら、鎌倉鶴岡八幡宮から富士山を仰ぐ大磯へ向かうロードムービー。最後の見せ場はほんとに春らしくてもう気分は晴れ晴れ。吉野山は静御前と狐が化身したお供の舞踊劇。ああ春だわ~ 音楽がいいのよね。華やかで浮き立つよう。なにも考えずぼーと舞台を眺め音楽を聞いていたら、そうかこれは「マイノリティの音楽」かと急におもいついた。日本では高尚な古典芸能だけど、世界全体からしたらマイノリティでエスニックだわね。

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ニ月大歌舞伎夜の部「京鹿子娘二人道成寺」とイナバウアー

 寒いよーと思いながらてこてこと歌舞伎座へ。正面玄関も幕見席入り口もごった返していて熱い! いい年したおっちゃんおばちゃんがこの寒いのに一時間も当日券売場に並んでいるなんて、私はとっても励まされるものを感じてしまいました。みんな、楽しいもの、きれいなものが好きだよね。最近、チケットの買い方をおぼえまして正面から入りました。

■梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれいしきり)

 一幕目、寝ちゃうのはデフォルト。腰が抜けてる六郎太夫の音楽に合わせた演技が面白かった。

■京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)

 美貌の安珍に執着する女ストーカー清姫の舞踊。蛇に化身してしまいには男をとり殺すっていうおっそろしい女の人なのですが、これをこんなに華やかに艶やかに演出する発想っていうのが、まず歌舞伎っぽいなーって思う。第一、安珍なんてでてきやしない。オトコはどうでもいいのね(笑)

 二年前にも一度見た、玉三郎丈と菊之助丈のおふたりの舞台。玉三郎丈はもうほんと美しいのです。あれは男性でも女性でもない、タマサブロウという生命体なのね。私なんかがこんなこと言ってたら笑われるかもしれないけど、自分なりに思ったことを書くと、腰の決まり方とか膝の柔らかさとか肩の開き方とかがもう全部、これしかないでしょう、っていう決まり方なんです。あと鳴り物持ってるとわかるんだけど、動作が音楽とぴったりいっしょなの。フツーの人間なら、音楽を聞いてから、からだが動くものだと思うんだけど、そうじゃないんだもの。もうほんと、見ていて快感。音楽を目で見ているよう。

 菊之助君はとても可愛らしいお姫様。でもやっぱり玉三郎丈の凄みが圧倒的です。前に見たときに、菊之助君にとってものすごく勉強になる舞台じゃないかとおっしゃっていた方がいたけれど、これはついていくのすごいたいへんそう。ガンバレ。

■人情噺小判一両(にんじょうばなしこばんいちりょう)

 よかれと思ってしたことが、相手のプライドを死に追い詰めるほど傷つけてしまったとしたら? 悲劇系人情モノ。なんだけどさ、貧乏な長屋で非業の死をとげた浪人サムライの手をつかまえて、「イナバウアー!」って。ぎゃはは。もちろん死体の役の人は死体らしくしてました。ばからしいっていえばばからしいんだけど、切なくてすごくやりきれない、ほとんど後味の悪い話をギャグでまとめるっていうセンスが私はすごく好きです。ざる屋安七が菊五郎丈、浅尾申三郎が吉右衛門丈でした。

 行ってよかったな。さてこれからチェルシーVSバルセロナ戦を見ます。

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やっぱり吉右衛門は中澤に似てる

「似てない? ねねねね、似てない?」

 とつぶやいていたら、高校時代にサッカーやってたという歌舞伎ファンS君がこう言った。

「例えたくなるのはわかる。歌舞伎役者とサッカー選手のボディーバランスは共通するものがある」

と。!!!! そーそーそーそーそれが言いたかったのよ!

「中澤に似てるっていうのは、延年の舞でしょっ?」

 そう! そうなの! あの下半身の不器用さの、なんというかたどたどしさが。迫力も存在感もあるゆえに、そこがまたよかったりするんだけど。

「ボディーバランスのよさということで言えば、やっぱり三津五郎だねっ。すごいぐにゃぐにゃなのに、絶対バランス崩れないでしょ。下半身がすごく決まってるんだよね」

 うわー もやもやしてたものが言葉になって、すごいすっきりした・・・ そうか、私は役者さんのボディーバランス(笑)を見てたのね。あーすっきり。自分で気づけよという感じ(笑)

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吉右衛門の弁慶は日本代表の中澤か

 先週は選挙だったんですよね。書きそびれました。さんまの塩焼きを注文したら、牛肉のステーキとポルチーニのリゾットを差し出されてさあどっちにするのかと迫られたような気分だ。カチンときたので思わずチンジャオロースーに投票しちゃった私。さんまの塩焼きはどこへ。すごいなめた感想である。

 今日は歌舞伎座の夜の部観劇。

■平家蟹

 岡本綺堂のお話。なすのよいちに扇を射抜かれた平家の玉蟲姫は、屈辱と恨みのために、夜な夜なあらわれる蟹に武将の名前をつけて話し掛けるまでにご乱心。なすのよいちの弟と通じ合った妹を毒殺し、蟹に導かれるまま海に踊りこむ。

 縁の下からはいでてくる蟹がすごいリアルで超こわかった(もっと違う言い方はできないのか)。海の舞台装置はほんとに素晴らしい。“ほんとうの荒れ狂う海みたいだった”。狂気の玉蟲姫もすごかったけど、恋に舞い上がる玉琴姫っていうのもとっても可愛らしかったのです。官女って姫って言わないのかな。ブログ書くために調べない主義なのでお許しを。

官女玉蟲 芝 翫
妹 玉琴 魁 春

■歌舞伎十八番の内  勧進帳(かんじんちょう)

 これはちょっと私の妄想はいるんですけど、例えばボッチチェリの「ヴィーナスの誕生」って、ルネサンス美術の代表みたいに言われるけど、同時期のほかの作品と見比べるとものすごく唐突な気がするんですよ。だっていきなり貝殻の上の裸の女の人ですよ? 勧進帳も歌舞伎の代表選手みたいに言われるけど、なんか他の歌舞伎の演目のどれにも似てない気がします。お話の面白さっていうより、心理表現の面白さみたいなところはすごく今風だし、でも舞台装置らしい舞台装置なんかなくて、といって抽象化された舞踊劇とか音楽劇ってわけでもないのですよね。「ヴィーナスの誕生」でなにかが変わったように、「勧進帳」でなにかが変わったのでしょうか。調べてないのでわかりません。

 吉右衛門丈の弁慶はね、迫力あってチャーミングでなぜかなんだかはらはらしました。中澤が不器用そうにドリブルであがっていってるところを見守っているような感じだった。義経は色っぽすぎ(笑)

武蔵坊弁慶 吉右衛門
源義経 福 助
富樫左衛門 富十郎

歌舞伎座

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野田版 研辰の討たれ

 スカパーで初見。以下寝言。

 個人的には、野田秀樹と歌舞伎の出会って、双方にとって不幸だったと思われてならない。「野田版 鼠小僧」てもそうだったんだけど、この2作品を見る限り、野田秀樹は多数派が意図せずしてもってしまう暴力についてすごく批判的だ。私は面白かったけど、それって野田秀樹の面白さであって、歌舞伎の面白さとはちょっと違うような気がするのだ。

 「研辰の討たれ」はこういう話。町人(研辰・勘三郎)がおさむらいに意趣返しをしようと悪戯を働いたら、そのおさむらいがびっくりして脳卒中で死んじゃう。そこでおさむらいの息子達があだ討ちをしようと研辰を追いかける。でもいざ研辰をつかまえて斬り殺そうとすると、しょせん町人のことだし、あまりに哀れでなんか敵討ちって気分じゃなくなる。それを野次馬が「殺しちゃえよー」と煽ったり、お坊さんが「許してやりなさい」と諭したりするのだけど、おさむらいの息子たちは一度は許しながらも、このあだ討ちの件がもう人の口にのぼらなくなったころに、結局研辰を斬り殺す。

 野次馬が「殺しちゃえよー」と口々に言うところなんか、ひえー多数派(大衆?)っておっそろし~・・・ とぞっとしたのだけれど、歌舞伎座のお客さんはそこで「あはは」と大笑いするのだ。え、そこ笑うとこ? 

 たぶん歌舞伎って批判精神で楽しむものじゃないんだよな。と私は思うのです。野田秀樹の言わんとするところは歌舞伎座のお客さんが求めているものではなく、歌舞伎座のお客さんの楽しみ方には野田演劇はそぐわないんじゃないかなーという感じがした。私の感じですよ。いろんなご意見があろうかと思いますが。

 一方で、役者さんたちや義太夫の方は素晴らしい。この人たちはどんなことでもできる。コミカルなことでも、アクロバティックなことでも、ミュージカルの真似事でも、真面目な顔して笑いをとることも。でもだからといって、あんな馬鹿げた真似ばかりさせなくても・・・ ってどうしても思ってしまった。

 いろんな意見があると思うけど、私自身は、野田歌舞伎はもうあんまり興味がもてない。それなら野田秀樹自身のお芝居と、昔ながらの名作歌舞伎を別々に見たほうがいい。
 
 寝言ですけど。

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八月納涼歌舞伎夜の部-爆笑残虐スラップスティック合体ユーレイ

 てこてこと歌舞伎座へ。並ぶ。あなたたちが90分間走り続けることで世界への愛をしめすというなら、私は銀座の真ん中で立ち尽くすことでしめしてみせるっ(←誰に言っているのか)(←そして意味不明)

■八月納涼歌舞伎夜の部-法界坊(全3幕)

 中村座を串田和美が演出した串田戯場(くしだわーるど)。 あーもう笑った笑った。こんなえげつなくて残虐なのにこんなに笑っていいんでしょうか。何人死んだんだ(笑) お客さんもひゅーっとひやかしたり(もう掛け声になってない)舞台にむかって手をふったり、もうノリノリ。待ちきれなくて先に笑い出しちゃったり。暑さだるさがふっとびました。

 とにかく、キャラクターがハンパなく濃い! からだの表現がすごいの。中村座のみなさんのからだはどういう仕組みになってるのでしょうか。この人たち根本的にはダンサーなんだなーと思ったり。音楽もピーひゃら夏祭りふうで気持ちいい。これだけ遊んで、3時間で1600円という値段もすごすぎる。まだ始まったばかりなので、あまり書かないでおきます。えーと、4時半くらいに並べば座れそう、今日は立ち見の人は少なかったほうだと思う。お時間ある方はぜひ。

法界坊(ほうかいぼう)

聖天町法界坊  勘三郎
永楽屋娘お組  扇 雀
山崎屋      勘十郎
女船頭おさく   勘太郎
野分姫      七之助
番頭正八     亀 蔵
道具屋甚三郎  橋之助
永楽屋手代要助実は吉田松若  福 助

 客層がいつもとぜんぜん違うので驚いた。Bunkamura? 浴衣のお嬢さんがいっぱい。ケータイの待ち受けを勧進帳の富樫にしてるような愛すべきオタク青年の姿は見当たらず。いつも必ず2、3人いるのに。あともうちょっと音楽のことが知りたいなあ。どこから手をつけたらいいのかしらん。

 来月はどうしようかな。いわゆるカブキカブキしてるのが見たい。「勧進帳」行こうかな。吉右衛門丈の弁慶。東海道中膝栗毛で、たどりついたところが愛知万博っていうのはどうなんでしょ。

歌舞伎座

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鶴屋南北礼賛

 六月大歌舞伎夜の部に行ってきました。

■盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)

 今年は四世鶴屋南北の生誕250周年だそうな。歌舞伎で見たことあるのは、「東海道四谷怪談」と「桜姫東文章」に続いて三作目。
 前は苦手だと思ってたのだけど、だんだん面白くなってきてしまいました。私の思いつく限りでは、滝沢馬琴が「ハリー・ポッター」や「指輪物語」や「ナルニア国」だとしたら、鶴屋南北は「キャリー」とか「シャイニング」とか「ザ・リング」みたいな感じだ。ただし似ているのはファンタジーとかホラーとかの全体のトーンだけ。鶴屋南北や滝沢馬琴を見て、なんでここで盗むのか? どうしてここで殺すのか? なぜにそんな男がそんなにも好きなのか? そんなことに悩むのは野暮というものである。そもそも、欧米の精神分析的心理的根拠なんかないんだもの。
 日本の戯作がポップで素晴らしいのは、登場人物たちが、外国の小説みたいに、感情が理に落ちる、以前の姿だからだ。と私は思う。ブラジルのサッカーみたいでしょ。面白ければ勝ちっていう。こうして昔の戯作の世界にふれると、日本という国は本来ポップなラテン系の国だったんじゃないのかなと思ったりします。派手! とか こわい! とか ドロドロ! とかもう徹底的よ。

■良寛と子守唄
 坪内逍遥の舞踊劇。セリフがちゃんと新潟弁だった。富十郎丈のお子さん愛ちゃん(4歳くらい?)がとっても可愛いの。もうね、歌舞伎の世界に禁じ手とかありませんから。ウケると思えば子供でも動物でもなんでもだしますから。にしても、愛ちゃんは毎晩舞台に出てるのですよね? やっぱり特殊な世界だわ。

■教え草吉原雀
 舞台いっぱいに勢ぞろいするビッグバンドがゴージャス! 「盟三五大切」は3時間くらいある大作なので、少々疲れたところに、楽しい舞踊劇が続きました。襲名興行とかシェークスピアとかのお祭りもよいのだけれど、あたしゃフツーに歌舞伎が見たいと思う今日この頃。

【メモ】コンフェデレーションズ・カップ続き

 25日(土) 0:55 ドイツVSブラジル(TBS) 
 日曜日のメキシコVSアルゼンチン戦の民放オンエアはなし
 29日(水) 0:35 三位決定戦(フジ)
 29日(水) 3:40 決勝戦(TBS)

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かぶき

「極めて低級に属する頭脳を有った人類で、同時に比較的芸術心に富んだ人類が、同程度の人類の要求に応ずるために作ったもの」by夏目漱石

 あげてるんだかさげてるんだかわからないところがいい! まさしくそういうものだと思う。

 今月は歌舞伎観劇はお休みです。1年の間に、ビッグ襲名が2回もあると見るほうもそれなりに疲れますね。1回目は市川新之助改め海老蔵丈の襲名興行で、去年の5月・6月のことでした。そうか、海老蔵さんは2ヶ月しかやってないのか。勘三郎襲名興行の3ヶ月っていうのは長丁場なんだなー。3月にテレビのニュースをご覧になった皆さん、まだやってるのですよ。今月は人気の野田歌舞伎なので、いっそう盛り上がっていることでしょう。

 私はそろそろ、普通に昔ながらのお話を見たくなりました。6月のチケットは無事とれました。わーい。

 歌舞伎座

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木挽町ローカル

 鉄砲洲稲荷神社の3年に一度の大祭が、5月1日から5日まで開催されます。1日の宵宮祭では、歌舞伎座にお神輿が繰り出していって、勘三郎丈に襲名のお祝いを述べるということ。勘三郎丈本人も顔を出してくれるそうです。私はこの件を、会社の近所のスーパーで知りました(笑)

 <鉄砲洲祭> 
 5月1日 宵宮祭
 5月2日 前日祭
 5月3日 神幸祭
 5月4日 礼祭奉幣
 5月5日 翌日祭

 襲名祝いの口上 5月1日(日) 11:00~ 歌舞伎座前にて

 さすがに公演中は避けたのですね(笑)
 5月大歌舞伎は3日から。

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4月大歌舞伎夜の部

■毛抜き
 この演目は初見なのだけど、楽しい! 団十郎丈復活おめでとうございます。

■口上
 金子國義の襖絵は海辺の松。明るく力強くて気持ちよかったけど、なんとなく「ベートーヴェン・フリーズ」みたいなの想像してたのでちょっと拍子抜け。そんなわけないか(苦笑)
 始まった瞬間、コンタクトレンズがぽろっと落ちて動揺。4月16日は十七代目中村 勘三郎丈の命日だそうで、何か感極まるものがあったよう。

■籠釣瓶花街酔醒
 醜いが実直な田舎商人佐野次郎左衛門が、吉原一番の花魁に裏切られ、妖刀"籠釣瓶(かごつるべ)"で花魁を切る。
 噂の、玉三郎丈の魅惑の微笑みを目撃!(4階の住人は皆転げ落ちそうだった・笑) 花魁八ツ橋は、花魁道中の最中に自分に見とれている田舎商人に気づく。八つ橋は、最初、「何? このイナカモン・・・」って感じで気がなさそうに次郎左衛門を見やり、それからフェロモン全開でゆっくり、にっ・・・ って笑うのだ。絶対に現実には存在し得ない架空の魔性の女の微笑って感じ。誘惑しようという意思さえない。女って恐ろしい(笑)
 これは平成14年にはじめて歌舞伎を見たときのトリの演目だった。佐野次郎左衛門は吉右衛門丈で、大人のものの分かった男がキレる瞬間のすごみがものすごかった。勘三郎丈だともっとナイーブな感じがした。
 最初、なぜこれが襲名興行の演目? ってちょっと不思議だったのだ。あらためて見るうち、「籠釣瓶」の次郎左衛門は、「夏祭浪花鑑」の団七九郎兵衛と同じ系列のキャラクターだなと思ってちょっと納得。たぶん勘三郎丈は、フツーの人が誰でも隠し持ってる深くて真っ暗な淵を肯定したいのではないかしら(わかんないけど)。

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7月大歌舞伎は蜷川シェークスピア

 ふーん。

 ということだそうです。 

 話は変わるのですが、HNのわじゃっていうのやめようと思います。もうちょっと本名に近い名前を名乗りたくなったので・・・ ヨーコと呼んで下さい(知ってる人は苗字でもいいけど) 
 
 今まで、わじゃという名前でコメントくださったりした方、勝手言ってごめんなさい。これからもどうぞよろしくお願いします。

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まだ間に合う、歌舞伎座へ急げ!

 勘三郎襲名興行昼の部に行ってきました。チケットが手に入らなかった方、幕見で見ようか迷っている方へ。絶対行った方がいいです! 勘三郎丈は天才じゃ~ なんか憑いてるのではないかしらん。お父上? 

■猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)

 江戸歌舞伎の創始者で初世中村(猿若)勘三郎の舞踊劇。猿若役の勘太郎さんがうまい! 体が軽くて柔らかくて宙に浮いているみたい。ゆうべ見たスケートでいうと「スパイラル! きれいですねー」「トリプルルッツ! 高い! 完全に観客をつかんでしまいました!」「続けてダブルアクセル! うまい! 安定してます!」「でたーっ 4回転!」みたいな感じ(それはウソだけどさ・笑) 本当に頼もしい限りです。
 あと、お琴の女性奏者の皆さんが舞台にあがってるの初めて拝見しました。

■平家女護島 俊寛(へいけにょうごがしま しゅんかん)

 謀反のため、家来とともに鬼界ガ島(史実だと硫黄島)に流された俊寛。お許しがあって迎えの船が来るんだけど、いろいろいきさつがあって、俊寛は都を激しく恋いながらも自分は島に残り家来たちだけを船に乗せて帰す。
 海が舞台となるとがぜん大道具さんがはりきるような気がするのは私だけ? 広大な海、満ちてくる潮、美しい船、孤立する絶海の島、私の中ではこれが歌舞伎の舞台だっていう感じです。海の彼方へ去っていく船に絶望的に手を伸ばし「おお~い・・・」「おおぉ~~い・・・」とむなしく呼びかける幸四郎丈に近くの席のお兄ちゃん大泣き。「おれこういうのだめなんだよおお」 鼻ズルズルいってるから花粉症かと心配しちゃいましたよ! ああこれだから天井桟敷は面白い。

■口上

 なぜかよしもとばなな氏の日記を思い出した(3月4日付け)。有名な漫画家さんの結婚式に行ったら、出版社の偉いおじさんが「金の卵を産むめんどりと結婚するっていうのはうらやましい限りです」とスピーチしてびっくらこいたそうだ。結婚式のスピーチをする人には全員、襲名口上のビデオを100回くらい見ることを義務付けるべきだ。それくらい、簡潔で、笑いあり涙あり歴史あり、自慢話も面白おかしく、心がこもっていて(そうじゃなかったとしてもそう見えればいいの)ステキでした。

■一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)

 さていよいよ新生勘三郎丈登場。敵をあざむくためにアホのふりをするお殿様。作りあほうって言うんですって! もうすごいバカ殿ぶりよ。ある時点で、味方に本当の姿を垣間見せるという、バカ殿と誇り高い武士とみやびな公家の三要素の入り混じった役(イヤホンガイドによると)なのだけど、これがすごいひきこまれます。いやこれはさー、朝から夜まで通しで見たら勘三郎ワールド全開ですね・・・ 小松成美さんの「さらば勘九郎」(幻冬舎)を読み、今月の襲名興行のラインナップを見て自分なりに勘三郎ワールドってこういう感じかな? って思ったことがあったんだけど、それはまたこんど。

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 さて幕見席情報です。

 今日のところは、8時30分に行けば楽勝でした。9時だと座れるかどうか微妙、9時30分なら立ち見、それより後だと立ち見でも人数制限はありますから、はいれるかどうか微妙というところです。今日はそうだったということで、自己責任でお願いしマス。4階までたどりついたら、東側(舞台に向かって右側)に陣取りましょう。ちょっとだけど花道も見えます。どれだけ高いところから見てるんだって話ですが。

 4時前に舞台がはねたら、夜の部がはじまる4時30分まで待って、正面入り口で「売店にはいりたい」とお願いしましょう。中小企業の社員証みたいなカードを渡してくれるので、それを首からさげて、上演時間中にかぎり売店にはいれますのでお土産も買えます。襲名記念お菓子とか手ぬぐいとかたぶん舞台写真もそろそろ出てると思います(最後のは確認してないけど) 

 あと、私は確かめてないけど、キャンセル分の発売のほか、1階の自由席?(立ち見のことかな・・・)みたいなのもあるらしいです。

 歌舞伎座

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十八代目中村勘三郎襲名披露 三月大歌舞伎 夜の部

 午後、突然春の雪が降る。運良くチケットをゆずっていただいて、正面からはいることができました。席は私の大好きな西の袖(笑)

■近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)-盛綱陣屋

 敵味方に分かれて戦うことになった兄弟。弟の子供が兄にとらえられる。そこに兄の方の大将が弟の生首をもってあらわれる。弟の子供は首を父と認めて切腹する(10歳くらいですよ!) 兄が生首を見ると、なんと、弟とは別人のものではないか。弟の子供は敵の大将をあざむき父を救うために切腹したわけ。さて兄は大将を前にどう答える?
 勘三郎丈は兄の盛綱役。首実検の息の詰まるような緊張感は、まさしく新生勘三郎の襲名興行にふさわしいものでした。
 だったのですが、白状すると、朝から出歩いてたので、前半寝ちゃったのです。大向こうの「忘れものっ」っていう掛け声で目がさめた。誰かが陣笠を忘れたらしい。誰が? どういうわけで???
 
■保名(やすな)

 菜の花咲き乱れる春の野を恋人を失った男が正気を失って踊り乱れる。西の袖にもいいところはある! それはバンドを正面から見ることができるってこと。盛綱陣屋の浄瑠璃も、保名の清元の皆さんも素晴らしかった! 正気を失った保名役の仁左衛門丈が色っぽい。

■鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)

 三島由紀夫の新歌舞伎。昭和29年初演。ハッピーな恋するバカ殿もの。頭に盛綱陣屋をもってきて、トリに鰯賣をもってくるなんて、さすが、大人の襲名だ・・・ 
 大名のふりをして遊女蛍火に会いに行く鰯売りを勘三郎丈が、実は大名の娘で鰯売りの声に一目ぼれ(一聞きぼれ?)していた遊女を玉三郎さんが演じます。このふたりのコンビネーションが、可愛くて品があってでもはちゃめちゃで楽しい!
 「いせのくにの、あこぎがうらのさるげんじが、いわしこぇ~」(伊勢の国の、阿漕ヶ浦の猿源氏が、鰯買え)
 って、勘三郎さんも玉三郎さんもお父さんも家来もみんなで唱和するころには、見てるこっちはもう顔が笑っちゃって元にもどらないの。玉三郎さんが出てくるとほんとに安心するし、嬉しい! ほんとのお嬢様って、お上品にしててもやりたいことはやっちゃうのね(笑) 勘太郎さんもきれいだった。あー七之助のバカバカ。反省して早くもどってこーい!

 ところで、襲名のお祝いの贈り物などは展示されていませんでした。海老蔵襲名では、ヴィトンの特注衣装箱やらなんやらが飾られていたことを思うととてもあっさりしてました。これも大人だからでしょうか。飾りきれなかったとか。タレントさんやテレビ局関係の人からもたくさんよせられていたみたい。

歌舞伎座

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勘九郎日記「か」の字

 えっ 勘三郎襲名の口上の襖絵は、 金子國義 なんですかっ みたい・・・ やっぱり昼の部も行こうかな。幕見で・・・

 なんかゆうべから妙なことがあって調子が狂い、送らなくてもいいメールを送っちゃったりして少々凹み気味だったので、気分を変えようと会社帰りに本屋さんをうろうろ。襲名興行直前の勘九郎丈の日記形式エッセイを手にとってみました。

 ニューヨーク公演の舞台裏や、いかにして勘九郎は妻好江さんの尻にしかれるようになったか、とかトム・クルーズの厳しいキレぶりに「父で慣れてますから」と言い放った七之助君のエピソードから、真夜中の歌舞伎座に忍び込んではしゃぐ野田秀樹、入院先から抜け出してきた勝新太郎まで、軽妙なトーンですごいことが次々と語られるの魅惑のエッセイ。

 おっかしいのは勘九郎丈(この本は去年の11月の発行)の遊園地好き。ロサンゼルスのディズニーランドで鼻血だしたほど好きらしい。豊島園とか横浜ドリームランドまで熱く語っちゃう。激しく納得。

 舞台を見るのが楽しみ! でもチケットはない・・・ 風邪引いたり腰いたかったりでチケットのことなんかすっかり忘れていたので、おっとり刀で一般発売の3日後に電話したら当然ながら全席売り切れ。もうね、今月は、昼夜、幕見でいっちゃいますよ。今日、歌舞伎座に聞いてみたら、土日でも、昼の部は7時、夜の部は2時頃から並べば楽勝みたい。2時間並べば見れるんだからさっ あきらめないで、さあみんなでレッツラゴー!

歌舞伎座

勘九郎日記「か」の字
kankuro
著者: 中村 勘九郎
税込価格: \1,890 (本体: \1,800)
出版:集英社
発行年月:2004.11 

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ちょっと復活

 前から悪かった腰がいよいよまずい状態になり先週は2日も会社を休んでしまいました。連休は飲み会も歌舞伎もキャンセルし、開き直って寝正月再来とも言うべき日々でした。ちゃんとトレーニングしてほんとになおすぞー と激しく決意したのであった。

 んで連休中の成果。

■桜姫東文章(下)
 うーん、期待しすぎたせいか、思ったほど面白くなかった・・・ お坊さんの清玄は若者白菊と心中を図り、自分だけ生き延びてしまう。17年後、桜姫が白菊の生まれ変わりとわかり、清玄はお姫様にすんごい執着するんだけど、姫は押し入り強盗の権助にレイプされたあげく権助を好きになっちゃって他の男はぜんぜん目に入らない。清玄は、姫の相手は自分だと名乗り出てさらし者にされ放浪の身になったうえ物盗りの目的で殺されてしまう。頓着しないお姫様は権助と再会し遊女になる。「自らは・・・」っていうお姫様言葉と「なんでぇいっ」っていうお下品な言葉がちゃんぽんにあらわれるのが面白い。でも枕元に清玄の幽霊が現れるので客が逃げちゃう。そうするうちに桜姫は、酔っ払った権助の口から、父と弟を殺したのは権助だと知り権助を殺害。昔の家来が姫を助け、大団円。だったのでした。これは歌舞伎座で一日かけて上演されたのだけど、生で見てたら全然違う感想だっただろうなー 残念!

■グレムリン
 すんごいB級映画で思わず目が離せなくなった。

■トールキン関係

■バルザック「セザール・ビロトー」
 これが一番いい。腰痛いとなぜかファンタジー系はつらい。手形を90日だ40日だ50日だとやりあう会話を読むと心底ほのぼのします。すさんでいるのでしょうか。

 ところで、きのうの朝9時に「あたしってまた自殺未遂するかもしれなくてぇ~・・・」と電話が。こっちは腰いたくてそれどころじゃなかったので生返事をしていたら、同情され励まされた上に「でも5月にはみんなで旅行もあるし、6月にも約束があるし、早く元気にならなくっちゃ♪(注:電話してきた本人が自分に対して言っている言葉)」とのこと。
_| ̄|○ とりあえずスカパーにはいって映画チャンネルでもつけっぱなしにしていたら? と言ってみた。別にスカパーの回し者ではありませんけど。というかどっちかというとこのお方は人並みはずれた生命力の持ち主のようにお見受けするのですが違いますか。

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久しぶりにビデオを見た

 半年くらいろくに映画もあまり見てなかったし本も読んでなかった。本なんか読んでどうするの? とか、映画なんか見てどうするの? って気分になることありませんか? たまにそういうふうに人間不信というか何か不信になることがあります。なんとなく脱けつつあるけど。

■ジョゼと虎と魚たち
 障害があるからとか関係なく、若い頃の恋愛ってこうだよなーというところはちょっとジンと来た。しかし一方でジョゼの少女趣味な言動にげんなりしている自分がいた。障害があるとかどうとかは関係ない。見苦しくも生き延びてしまうということは少女趣味とは正反対なのね。私は若い頃をなつかしく思い出せるタイプじゃないのです。抹殺したい過去多数。最後にひとりで電動車椅子を駆使して出かけていくジョゼのほうがずっと好き。

■木更津キャッツアイ 日本シリーズ
 余命半年を宣告されたぶっさんと仲間達のどたばた話。公開時の2003年、身近に癌で余命僅かという人が2人いたので、ずっと見れなかった。いや見れないですよ。やっぱり。今となっては「あーわかるー(爆笑)」って感じです。ほんと、死は誰にでもやってきますから。ジタバタしないようにしたいです。自分の死も他人の死も。

■桜姫東文章(上)
 去年の7月に歌舞伎で昼夜に渡って上演された公演の昼の部。鶴谷南北ってもうどろどろ。歌舞伎は役者さんよりお話で見てしまうんだけど、今のところ滝沢馬琴のほうが好きかも。「椿説弓張月」とか。前半もすごい展開だったけど後半どうなるのかしら。感想保留。

■指輪物語
 全六巻のうち「2つの塔」の下巻が読み終わるところ。さすがに飽きてきた(笑) 

■鴨とあひるとコインロッカー(冒頭だけ)
 間違えた「アヒルと鴨のコインロッカー」 なぜこの人たちはたかだか万引きくらいでこんなに四の五の言ってるのでしょうか? そんな大事件? それにボブ・ディランの「風にふかれて」とかどういうつもりでひっぱりだしてきたんだろう。50年も前の歌じゃない。と申しますか今ちょっと波長があわないので保留。関係ないけど吉田修一のうまさって鶴太郎の演技と似てませんか。なんか私に足りないのはやっぱり殺人なんじゃないかしら。という気がしてきました(苦笑)

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がんばれ中村親子

 中村七之助君が父君の襲名披露パーティーの帰りに泥酔して警官に暴行をふるい逮捕。ネタがなかったのか朝からワイドショーはこの話題で持ちきり。あらら~・・・ よりにもよってこの日でなくとも。

 けれども私は信じているのだ。近い将来この件が必ずや歌舞伎座の舞台の上でネタにされるだろうことを。がんばれ息子。がんばれ父さん。

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謹賀新年-初春大歌舞伎夜の部

 木挽町界隈は和装の人がたくさん。しかし3階席では着物はかなり無理あるとみた(席が狭いので)

■歌舞伎十八番の内 鳴神

 朝廷に恨みを抱く鳴神上人(三津五郎)が滝に龍神を閉じ込めてしまったため世は日照り続き。朝廷のマワシモノ雲の絶間姫が鳴神上人を色仕掛けで落とし、龍神を解放する。だまされたと気づいた上人は怒り狂って小僧さんたちに八つ当たり。まあおおらかで面白いっちゃあ面白いんですけど、お姫様にお腹が痛いの背中がいたいのさすってちょうだいのとせまられてへどもどしてる三津五郎さん純情すぎ。

■土蜘

 でましたスパイダーマン! 手から千筋の糸を繰り出すあれですよ。とても歌舞伎らしいのは、繰り出した糸のそのあとなんですね。ふわあっと宙に糸が舞って、床に落ちてきた瞬間、後見さんが土蜘の精の手を離れたもとのとこをひっさらってくるくるくるっと丸めて片付けちゃうんです。美しい・・・(片付け方が) 土蜘の精は吉右衛門丈。

■魚屋宗五郎

 魚屋宗五郎は酒癖が悪いのでずっとお酒を断っていた。ところが妹がお手討ちになったのは、不義のためではなく悪党に濡れ衣を着せられたからだと知り、呑まずにいられなくなる。これ妹のお手討ちはどうでもよくて、フィクションの酒乱を面白がる演目なんですね。うっわーこういう酔っ払いいるいる~みたいな・・・

 なにしろ最初の一口。場内が静まりかえり固唾をのんで見守る中、茶碗に顔をちかづけて(逆ではない)ぐいいいっと飲み干す宗五郎。その瞬間大向こうから「高麗屋!」と掛け声が。そんなのってあります~(笑) お酒呑んだだけのことがなぜこんなにもスペクタクル(笑) 

 私は初めて見た歌舞伎の演目が「時平の七笑い」っていうのだったんだけど、これは陰謀に成功した時平がいやらしーく「ふふふ。くっくっくっ。うーふふふふふ。ひーひひひ。あーははははは」てな感じで七通りの笑い方をするってのが見所なんです。ただ笑うだけってのが見せ場なんですよ。他にも、ただ酔っ払うだけ、とか。ただ睨むだけ、とか。おっかしー世界だなあもう!(喜)

 今月は浅草でも新橋でも半蔵門でも歌舞伎をやってます。海老ファンは新橋、ツウは半蔵門に行くとして、お正月らしくフレッシュな感じにひたりたかったらやっぱり浅草ですか? 歌舞伎座の演目は確かにお正月らしいけど、三津五郎丈のエロ上人に、吉右衛門丈のスパイダーマン、幸四郎丈の酔っ払いとくればそりゃあなた、渋すぎるってもんでしょう・・・ って気がちょっとしましたです。はい。

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12月大歌舞伎-渡辺えり子版桃太郎

 サンタさんのようなお友達がチケットをくれたので会社を早退して行ってきました。ありがとー! 席は3階の東側。花道の全貌を初めて見た。歌舞伎座って広いのね。比喩的な意味でですが。忘れないうちに書いておこう。目標15分。ネタバレ注意。

■御存知鈴ケ森

 美少年(実は強い)が夜の鈴ケ森で雲助に襲われるが、次々と斬って倒す。なんか脚が飛んだり手が飛んだりお尻や顔がそぎ落とされたりしてました。荒唐無稽で笑えた。

 なんとなく、キル・ビルvol.1公開の際に、井筒監督がこんな暴力的な映画を最近の若いコは喜んで見てるのかと怒りまくり同じ映画人としてタランティーノと名前を並べられたくないとまで言っていたのを思い出しました。それは井筒監督の信念なわけなので文句を言う筋合いはないのですが、バイオレンスをネタにするのって別に今に始まったことじゃないじゃないですか。歌舞伎なら7歳の子役の首がとんだりしますよ。タランティーノでもそれはやらないでしょー。逆にバイオレンスをネタにできなくなったら(しゃれにできなくなったら)そのほうがすごい危険なんじゃないかとさえ思う。井筒監督のような人(宮本輝氏も似たようなこと言ってる)は素晴らしいが、この時代にあえてバイオレンスをネタにする作家もまた反骨精神があるといえるのではないかと。

■阿国歌舞伎夢華(おくにかぶきゆめのはなやぎ)

 玉三郎丈の舞踊。腕が指先から肩を通ってもう一方の腕・指先までしなるしなる。背中も。でも軸はぶれない。日本舞踊も西洋のバレエも見るところは同じだなと思った。胸の開き方とか、腕のしなり方とか、回転する時の頭や肩の残し方とか。歌舞伎の創始者である出雲阿国ってどんな人だったんだろう。401年前に、女性ながら男装して人前で芸を見せた人。マーケティングの感覚なんてあったのかな。あったかしれないな。いやぜんぜんなかったかもしれない・・・ 今でいうと誰が近いだろう。草間弥生? 山本容子? 

■たぬき

 大佛次郎の世話物。幇間役の勘九郎丈が傑作。

■苦労納御礼 今昔桃太郎(くろうのかいありかんしゃかんしゃ いまはむかしももたろう)

 勘三郎襲名前最後の公演ということで渡辺えり子氏が書き下ろした。ある作家の作品を他の作家をひきあいにだして形容するのは失礼とは承知ですが、ボキャブラリーがないので許していただくとして、要するに全編が北野武「座頭市」の最後のタップのシーンみたいな感じ。いや驚いた。歌舞伎役者さんが何でもする人たちだということは知ってました、懐中電灯を顔の下からあてて暗い客席に突然あらわれたりトンボ返りをしたり、きれいなお嬢さんでも顔からべちゃっと倒れるし、そこらじゅう走り回ったり天井からぶらさがったり舞台の上で7回も衣装を変えたり舞台中水浸しにしたりなんでもありなのは知っていたので、40分間タップでもそう驚きはしない。

 驚いたのは音楽ですよ。これが熱い! 浄瑠璃3名、長唄6名、三味線8名の奏者さん方なのですが、もう怒号ともいえるほどのフォルテッシッシッシッシモ。どこから声だしてるんだ。大勢の役者さんたちの掛け声と激しく掛け合ったり、太鼓なんてもう皮がやぶれるんじゃないかってくらい。すごい迫力。こんなこともするのか。古典芸能だからってお高くとまってないところがすごくよかった。彼らは最初からお高くとまってなんかいない、知らない私がそういう偏見を持ってただけだ。

 桃太郎は昭和34年に勘九郎丈が4歳でデビューしたときの演目なのだとか。その後桃太郎は、そこら中にはいりこんでいる鬼の策略で自分で歩くこともできないくらい太ってしまい自堕落な日々をすごしているのです。そして薬売りに変装した鬼の棟梁の薬で、踊りが止まらなくなっちゃう。このシーンは勘九郎丈の踊りのメドレー。藤娘と高杯しかわからなかったけど、それをでぶの扮装のままえんえん踊り続けるんだからすごいサービス精神と自信だと思いました。

 雉はデビュー時と同じ人が演じ、猿・犬役は当時のキャストの子息たち。昭和34年に犬を演じた中村又五郎丈(現在90歳)も犬の長老役で登場。すごい世界だ・・・ 私当分3階B席か幕見席でいいです、なんて思っちゃった。だって勘九郎丈のデビューとか、先代団十郎丈の助六とか見てきたファンの人たちがいるわけでしょ。いい席はそういう人たちに見てもらいたいですよ。お金の問題じゃないのだ。 

12月大歌舞伎

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八月納涼歌舞伎 東海道四谷怪談(スパイダーマン篇)

 中村座のニューヨーク公演が大成功し、有名評論家にニューヨークタイムスで「スパイダーマン2より面白い」と評されたと聞いて、私は ???? なぜスパイダーマン? と思っていました。リップサービスの部分もあっただろうけど、それにしたってスパイダーマンと中村座が比較の対象になるのかい? って。ちょっと乱暴ですが、同じ中村一座の「四谷怪談」と比較してみました。これを確かめるためにアタシは映画も見てきましたよ!

 結論。(比較の対象に)なります。

 スパイダーマン。少年は大人になり、成熟した愛を手にいれ悪い奴をやっつける。四谷怪談。女は幽霊になり、報われない愛を捨て悪い奴をやっつける。方や掌からくもの糸をはいてビルの谷間を縦横無尽にかけめぐり、方や何役にも変身しながら江戸時代の真っ暗な夜の闇の中を天井からちょうちんから戸板の裏からどっからでもあらわれる。そっくりじゃん。

 ふくさんもおっしゃっていたのですが、スパイダーマン2ってかなり歌舞伎の作りに似てると思いました。ピーターが葛藤しつつ正義の道を選ぶところなんか、心の動きとしては勧進帳の富樫みたいだし(えっと、違うけど、気持ちの揺れ動き方がってことです)、親のあだ討ちとか、深い因縁あるふたりの戦いなんかも見たことあるような気がします。見ているだけでわくわくするビルの谷間をわたりあるくシーンのケレンはまさしく歌舞伎の世界のものと同質のもののように感じました。

 たぶんこんなふうに感じるのは中村一座だからこそ。そう、勘九郎丈のお岩さんはこわくない。なんたって悪いのは伊右衛門なんだものっ やれやれーもっと懲らしめちゃえー! ・・・・って、四谷怪談ってヒーローものだったのかい(違う)

 なにしろお話は暗すぎて面白い鶴屋南北。まず文字通り、舞台の上が暗い。背景なんか真っ黒。場内は、非常灯まで消されるのです。そうして気分をもりあげた上で、登場するのは傘を貼る浪人、夜は娼窟へ出る元武家の娘、一目ぼれした妻子ある男を手にいれるために、その妻が毒を飲まされようともなんとも思わないお嬢さん。このなんとも思わないってとこがこわいんです。「ヒヒヒ・・・ ひどい目にあわしてくれるぅ~」とかいうんなら全然こわくないけど、なんとも思わないってとこがねえ。こういう話を娯楽にしてしまう江戸の人々のたくましさ、エンターテインメントに対する貪欲さがエラく頼もしかったです。

 長すぎるということで省略された三角屋敷のパートは、舞台番の染五郎さんが説明してくれました。三角屋敷のパートって、2年くらい前に単独でやってますよね? ちょっと記録が出てこないんだけど。こういうことがあるからブログに書いておきたいのさ・・・
 
 おまけ。例の1階席の仕掛けはかなり驚きました。突然、1階後方から、きゃーっ とホンモノの悲鳴が。となりのおばさまと「ふふ。お客さんの声のほうがこわいわねえ」などと余裕で苦笑なぞ浮かべていたのですが、そうするうち。私の目の前に。 ・・・・・・・・・・。 きゃーっ きゃーっ きゃーっ きゃーっ おばさまと手をとりあってもだえてしまったのでした。 

 あと、ラストはやっぱりあの終わり方じゃないと後味悪くていけない、とか、アメリカで公演してすぐ歌舞伎座でも違う演目を演じているこの人たちの仕事量ってすごいなーって思ったとか、いかりや長介さんがいかに勉強熱心で歌舞伎を研究していたか実感した、とか、中年になったドリフファンは、ただ昔のビデオを楽しむだけでなくいかに熱心で真摯な勉強からあの「八時だよ! 全員集合!」が生まれてきたかを考えてみるのも面白いかも、とかいろんなことを感じてとっちらかり気味ですが、とりあえずアップ。いやどうも、長くなっちゃってすみません・・・

 八月納涼歌舞伎 第3部
 通し狂言 東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)
 序幕 浅草観世音額堂の場より
 大詰 仇討の場まで

 お岩、小仏小平、佐藤与茂七 /勘九郎 の三役
 民谷伊右衛門/橋之助
 舞台番/染五郎
 お梅/七之助
 按摩宅悦/弥十郎
 お岩妹/お袖
 小平女房お花/福 助
 直助権兵衛/三津五郎

 歌舞伎座ホームページ

 スパイダーマンみたいなのって歌舞伎座でできないのかなー できそうな気もするけど・・・
 スパイダーマン2

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八月納涼歌舞伎 東海道四谷怪談(チケット篇)

 スペクタクル! 「スパイダーマン2」より面白い!(未見ですが) 

 今日は1階2等席最前列のすごくよいお席で見ることが出来ました。この暑いのに幕見席で見ようと2時間半前から並んでたら、同行するはずの方が急に来れなくなったと、チケットを譲ってくださる方があらわれたのです! 「歌舞伎のチケットは経済力より精神力」という友人の言葉を思い出しました(そういう意味ではなかったかもしれない・笑)。日陰だったとはいえ、あの炎天下あと10分たってたら貧血起こして倒れてるとこでした。いろんな意味でありがとうございます。楽しめました。

 歌舞伎座のチケット販売は、毎月15日に次の月のチケットを電話で予約するというシステムになっています。私の職場は、平日にチケット予約のために電話をかけ続けられる感じではありません。松竹の歌舞伎会の会員になれば13日、特別会員なら11日の先行予約が可能なのですが、電話しなきゃいけないことはいっしょ。しかも土日や安価な席のチケットは競争率が高い。人に一方的に頼むのも気がひけるし、ネットオークションは取引成立するまで他のことが手につかないという気の小ささゆえ(あと定価以上払ってまで見なくてもいいというのもある・こっちが主かな・笑)、めんどくさくなった私は、並べばいいんでしょとばかりにしょっちゅう当日売りの安い席で見ているのでした。今日は奮発しちゃった。

 そういえば6月も正面からはいったんだったわ。ある意味、私の数少ない歌舞伎鑑賞経験の中でもっとも舞台に近づいた日だったかも。
 

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海老蔵襲名興行(3)

 六月大歌舞伎(英語ではJune Grand Kabuki)の夜の部に行ってきました。お目当ての演目は「助六由縁江戸桜」。江戸一番の色男にして吉原きってのイイ女花魁揚巻の情夫(じょうふと読まずにまぶと読む)、助六は、実はいいトコの坊ちゃんで、盗まれた家宝の刀を探し出そうと、道行く人々にけんかをふっかけては刀を抜かせようとする。

 見た場所がものすごかった。3階B席の、左ウィングの一番舞台より。花道の見得は全く見えず、一瞬だけ身を乗り出したら助六のさしかける傘のてっぺんがちょっとだけ見えた。これなら舞台から遠くても4階正面で見たほうがいいなー でもこの席でしか見ることのできないものもたくさん見ることができ、まあいい経験だったかも。

 一番ウケたのは、出番を待つツケ打ちのお兄さん。舞台の袖で、片方の足に体重をかけお尻掻いたり頭をかいたり落ち着かないことこのうえない。でもここぞというところで場内の空気をスッパリ裁断するようなツケはやっぱり素晴らしく、ガラは悪いけど仕事は素晴らしいガテン系の職人さんを思い浮かべてしまった。こういう大勢の職人さんたちで伝統の舞台は支えられているのですね。

 それからお茶屋の赤い格子戸の向こうに控えるビッグバンドの姿もはっきりと見えた。音楽はとにかくゴージャス。

 あと、玉三郎丈演ずる揚巻の衣装を双眼鏡でつぶさに見ていたら、げたをはいた足はごつくて大きくて、やっぱり男の人の足だった、とか。そんなことばっかり見てどうする・・・

 かんじんの舞台ですが、若い助六に対して揚巻が迫力ありすぎ! ほとんどエイリアンの女王かとみまがうほどのド迫力。助六とふたり並んでの見得は女王エイリアンと子供エイリアンにしか見えず。いやだからそういうことを見にきたんじゃなくて・・・

 花道が見えるか見えないかで倍以上違う歌舞伎座の料金システムを堪能した一夜でした。というか、この席しか残ってなかったのヨ。早く歌舞伎チャンネルでオンエアしないかなー 

 

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十一代目市川海老蔵襲名披露(2)

 昼の部を見たらやっぱり夜の部も見たくなり、意を決して幕見席のために並んだ。これから幕見で見ようと思っている方へ。土曜日でも、2時にゆけば楽勝です。思ったほどでもなかった。やはり正直いって、親子共演だったらまた話は違ったのでしょう。

■碁太平記白石話

 吉原きっての花魁と奥州訛りの妹娘が、親のあだうちをしようと悲壮な決意をする話。花魁、宮城野役の時蔵さんの化粧の仕草を双眼鏡でじっくり見る。女らしい・・・ 菊之助君は、どんくさくてかつ可憐な田舎娘というなんともいえない愛らしい妹役を演じていた。ずっこけてもとても可愛らしかった。

■襲名披露 口上と「にらみ」

 口上と勧進帳に関してはですね、イヤホンガイドの小山觀翁さんがめちゃくちゃ面白かったんですよ! 「ガイドやってて誰かだけひいきするわけにはいかないんだけど今回ばっかりはあたしゃもう舞い上がっちゃって・・・」ってな感じ。メモしながら聞いてたわけじゃないので詳しく書けないものの、市川家にはゆかりの深い方のようで、感無量という感じのガイドが印象的でした。
 そして「にらみ」。小山さんおっしゃるには、市川家の芸っていうのは意味よりも生理的に訴えるような性質を持っているのだとのこと。「あの巻物に何が書いてあるの? なんてきかれたらもう困っちゃうんですよねー」・・・ って、そういうものなのか(笑) 私は海老蔵さんの手とか指が好きですね。いやーきれいな男だわー 双眼鏡でじっくり見てしまいました。

■勧進帳

 ああ! 三津五郎さんは素晴らしかった! でもこれ親子共演で見たかったとやはり言わずにいられない。誰よりも残念に思っているのは団十郎丈ご自身であることは自明なのだけれど。小山觀翁さんのガイドは絶好調。邪魔にならず絶妙のポイントで進行中の劇を解説してくれるので、セリフが全て理解できなくても表情や動きを堪能できました。富樫っていうのはいい役なんだなー かっこよすぎですね。これも能がもとになっているのだということ。こんどは能を見てみたくなりました。

 さて、そんなわけで今日は六月大歌舞伎の電話予約というものに初挑戦。30分くらいで、なんとか日曜日の夜の部がとれました。花道の真上(苦笑) 昼の部の鏡獅子が見たいのですが、五月昼の部の幕見席は皆さん八時頃から並び始めたということ。起きることができたら行きます。

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十一代目市川海老蔵襲名披露(1)

 やっと見てきました! 五月大歌舞伎昼の部。はじまる前からテンションがあがってしまい、売店でどら焼きやら襲名記念てぬぐいやら筋書きやら買い込む。2階では、いろんなところからのお祝いの贈り物が展示されていた。デジカメがこわれてしまったので写真はとれず・・・ のりこさんのサイトを参照させていただきます。

■四季三葉草

 能「翁」を歌舞伎風に仕立てた三人の舞踊劇。能がもとになっている演目の、舞台の簡素さ、清潔さが好きです。清冽で華やかで、お祝い気分が盛り上がってきます。

■歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)

 楽しい! 破天荒な長島茂雄とでも言ったらいいような、海老蔵さんのキャラにぴったり! 3階B席の前方右端で花道はちょっとしか見えず(でも見えただけよいのだ)、ふくさんのおっしゃるように、役者さんがでてきただけで鳥肌がたつというわけにはいかなかったんですが、遠くから「しーばーらーくー」と声が聞こえたときには胸が高鳴るあまりなぜか笑ってしまいました。あと、「いーやーだっ」っていうところも。衣装の斬新さに悶絶する。

■歌舞伎十八番の内 紅葉狩(もみじがり)

 高貴な姫が実は鬼女だった。髪をぶんぶんまわす立ち回りってはじめて見たので面白かった。

■伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)

 家宝の刀を巡る話。刀に振り回されて人を切りまくる。「籠釣瓶花街酔醒」もそんな話だった。遊郭での殺傷沙汰の、静かで妖しくて物狂おしい演出っていうのがすごく好きだ。

 見終わってすごくさっぱりとしたいい気分になりました。思うに、先人達の経験や伝統の延長線上に自分がいるということを感じられたからなのだと思う。田口章子さんの「江戸時代の歌舞伎役者」(中公文庫)や山川静夫さんの「歌右衛門の疎開」(岩波現代文庫)を読んだところだったのでいっそうそう感じた。私はふけばとぶような無名のつまらぬ人間だけれど、世界のこの位置に自分がいる、この歴史の先端に自分がいると確認できる機会は本当に大切にしたいと考えているのです。

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團十郎さん休演

 なんと。急性前骨髄球性白血病とは。團十郎・海老蔵の共演をとても楽しみにしていたとうかがっています。さぞ残念なことでしょう・・・ 今はよい治療法もあるということ、早くお元気になって欲しいものです。

<市川団十郎さん>6月歌舞伎座、7月大阪松竹座を休演 毎日新聞

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襲名口上

 今日は市川新之助あらため海老蔵の襲名口上を目撃。

 なんとスカパーの歌舞伎チャンネルで生中継してたんです。この日のために小狭い我が家にはコアな歌舞伎ファン2名を含み総勢5人が集合。いやすごかった・・・ 襲名口上ったら口上ですよ、親戚一同が19人も集まって、ずらりと並びひとりずつお祝いとおひきたての程をってお願いをするんですが、19人のスピーチを見続けて、なんと、飽きない! 笑わせたり泣かせたりというネタももちろんですが、話の間だけでエンターテインメントしちゃってるんです。すごい世界です。それだけでもぐったりするほど集中して見てしまいましたが、エビゾーさん("ゾーさん"にアクセント)の「睨み」ときたらもうぞっとしてしまいました。

 「睨み」って、「睨み」という芸です。成田屋の襲名口上のときだけ演じられるのだそうです。えーとただお客さんを睨むんですが。ほんとにただそれだけなんですが、海老蔵さんが、片肌脱いで、そでを落ち着かせるためにふりあげた手を前にもってきて、絶妙のタメの後、客席をギロリと睨みつける。時間にして2分くらいか。その一連の動作の流れと眼光、表情だけで完全に別世界が広がりました。すごかった。これを見るとその年は風邪をひかないそうです。

 そのあと、海老蔵さんのインタビューで爆笑する。酔ってた?(笑)

 で、歌舞伎チャンネルでは海老蔵特集ってことで、海老蔵主演の「白浪五人男」第2幕をオンエア。黙阿弥が退廃的と言われるわけがわかった。これは退廃的だ。きれいな若い男が艶やかな女の衣装をぐじゃぐじゃに着崩してアンダーグラウンドな会話をするのだからして。あたしゃてっきりドリフみたいな笑える演目かと思ってた。初見が勘九郎の弁天小僧だったもので(笑) 

 今夜はS君、T嬢のハイブロウなつっこみでいっそう楽しめました。T嬢は着物で登場。いやがおうにも盛り上がってしまいました。えーと、最後はぐずぐずになってしまってごめんなさい。また機会があったら遊びましょう。 

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白浪五人男

 四月大歌舞伎夜の部 通し狂言 青砥稿花紅彩絵(あおとぞうしはなのにしきえ)白浪五人男 を見る。今月は週末になんだか野暮用がたてこんで、見なくてもいっか~・・・ と思いかけていたのですが、k-tanakaさんの感想など読ませていただくうちいてもたってもいられなくなり、東銀座に足を運ぶ。忘れないうちにメモ。幕見席では三幕通して立ち見が出ていた。

 弁天小僧菊之助/青砥左衛門藤綱 勘九郎
 南郷力丸 三津五郎
 忠信利平 信二郎
 千寿姫/伜宗之助 七之助
 赤星十三郎 福助
 日本駄衛門 仁左衛門

【序幕】 
・初瀬寺花見の場/七之助君のお姫様が一番好き。なんて可憐なのかしら。
・神輿ケ嶽の場/素性をぶっちゃける勘九郎に笑った。お姫様は2回も飛び込んだ。
・稲瀬川谷間の場/まっくらやみの(ふりをして)手探りの演技をすることを「だんまり」と言う。

【ニ幕目】
・雪の下浜松屋の場/知らざあ言って聞かせやしょう。の場面。勘九郎ってやっぱり楽しい! 他の人ならどんな風になるかな? っていうのも気になった。
・同 蔵前の場/いやーやっぱりここ笑うでしょー・・・ 親子の縁とか因縁とかは、今となってはパロディでしかない。昔の人もこのシーンで笑ったのかな? それともほろりときたのだろうか。
・稲瀬川勢揃の場/寝そうになった。

【大詰】
・極楽寺屋根立腹の場/屋根の上での立ち回り。派手。岡引たちがショッカーのように見えた。
・同 山門の場/日本駄右衛門の衣装がとにかく派手。山門のセットもひたすら派手。登場の仕方も派手。
・滑川土橋の場/青砥左衛門藤綱が登場。初演時に、南郷力丸役(たぶん)を当時すごく人気のある役者さんが演じたのだが、あまりに人気がありすぎてその役だけじゃお客さんがおさまらないだろうということで、その役者さんのために青砥左衛門の部分をとってつけた。岡本綺堂が言うにはそういうことらしい(たぶん)。
 

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達陀(だったん)

 三月大歌舞伎 夜の部観劇。

■元禄忠臣蔵 大石最後の一日
 討ち入り後、切腹の日を待つ大石蔵之介と浪士たち。大石の元に、ある浪士の婚約者があらわれる。部下とその婚約者の気持ちをどう汲んでやればいいのか、葛藤する大石。それが全部セリフで表されます。静かに胸を打つ演目でした。

■達陀(だったん)
 東大寺二月堂のお水取りの行事を舞踊化。これはもうびっくり。煩悩の化身である女性と若いお坊さんのパ・ド・ドゥや、水天、火天をあらわす練行衆の群舞は、あなた、AMPの「SWAN LAKE」かと思っちゃいましたよっ。音楽がまた素晴らしいのです。こんなこともやっちゃうんですねー。歌舞伎って、本当に奥が深いエンターテインメントですね! 初演は1967年だとか。これが日本のコンテンポラリー・ダンスです。

■義経千本桜
  仁左衛門のいがみの権太にほれぼれ。しかし義経千本桜の一番の見所の幕ってどこなのかしら? まあいいや、ぼちぼち、いろんなものを見てまいりましょう。

 

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野田版鼠小僧

 昨年8月納涼歌舞伎の「野田版鼠小僧」をスカパーで見る。 この鼠小僧、義賊でもなんでもなくて、いきがかり&自分の都合で鼠小僧を名乗る破目になっただけのフツーのケチ男。私はすっごく面白かったです。

「おめえらの好きな芝居小屋の中じゃ、悪い奴は裁かれるのと違うのか」
「鼠小僧の言うことなら信じるんだろ、棺桶屋三太の言うことは信じないんだろ」

 このお芝居のキモは、お白州で大岡越前の謀略にまんまとかかった棺桶屋三太(あえて鼠小僧とは言うまい)が、ひったてられながらそう訴えるところなんじゃないのかなー。私的には。

 この舞台の中で、そもそも鼠小僧はお芝居の世界の中の虚構のキャラクターです。嘘の虚り話をこしらえ、他人のこしらえた虚り話に共感し、その虚り話を大切にし、お金と時間を費やして嘘のお話の世界を楽しむっていうのは、人間の一番人間らしい純粋な衝動(のひとつ)なんじゃないかなーって私は思います。その衝動って純粋なだけに、美しくもあり残酷でもあります。東銀座のまわり舞台の上の鼠小僧は、その両方を見ちゃったんだね。フィクションって、なんなんだろう。どうして人間には、嘘話をこしらえ、それを楽しむなどという不可思議なことが可能なんでしょうか。
 
 私はメタ小説は苦手なのに、メタ演劇(でしょ? これは)はけっこう好きだと気づいたりもしたのでした。そして日本で最もフィクショナルな世界感のエリア、歌舞伎座において、ほとんどけんか腰の作者。好きだ。役者さんたちもよくつきあったなーと考えると、歌舞伎の世界はやっぱり懐が深い!

 最後に、結局小判をまかないところもよかった。個人的には、天から降ってくる大判小判を待ってる子供の図ってあんまり好きじゃないしね。いるはずのないフィクションの鼠小僧を待ってるより、親を憎んでも世間を恨んでもいいから、少年よ、自力で生きよ! って思う。幻想、もっと言っちゃえば妄想から目覚めた朝っつーのは、すがすがしいものです。

 ビデオだと、役者さんの表情やちょっとした仕草までつぶさに見ることができ、セリフももらさず聞き取れるから、生で見るのとはまた違った印象かもしれません。実は私は野田作品は初体験。舞台ファン、歌舞伎ファンの友人達からは「なんか違うよ~」みたいな感想を漏れ聞いていたのだけれど、これだけの舞台でも許されないの? 野田秀樹っていったいどういう人なのだろーか。マクベス楽しみです~。

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三人吉三巴白浪

 2月大歌舞伎観劇。

■三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
 お嬢吉三、お坊吉三、和尚吉三の三盗賊の因縁話。お嬢に玉三郎、お坊に仁左衛門、和尚に團十郎の豪華配役。
 お嬢吉三っていうのは、女装の若い男。玉三郎がやると宝塚の少女が男役をやってるみたいな感じ。コケティッシュな話し方なんか得も言われぬ妖しいようなくすぐったいような魅力がある。この人やっぱいすごい人なんだ。こんな人の生の舞台を何度も見ることができて本当に幸せだ。
 雪の火の見櫓のシーンでキル・ビルを思い出しちゃう私の感性はほとんどガイジン並です。

■仮初の傾城(かりそめのけいせい)
 城を傾けるほどの美しい遊女がうたたねから目覚めて踊る。時蔵。お囃子が素晴らしい。人間の声ってなんていろんな表現ができるんだろう。

■お祭り
 ほろよい加減のいなせな鳶頭を三津五郎が踊る。最近、助六で三津五郎がそそっかしいなよなよした白酒売を演じている映像を見たばかりだったので、打って変わってさっぱりと男前な鳶頭役を見てびっくり。いまさらながら、役者さんていうのはファンタジーを紡ぎだす職業なんだなーと感心する。キムタクなんか何を演っても同じなのにね(それが悪いってわけじゃないけど)

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一幕見席は無法地帯

 のりこWebSiteさんで以下のような記述発見。歌舞伎座で2月大歌舞伎観劇の際、のりこさんは3階席にいらしたらしい。

今回とても気になったのが、一幕見席の観劇の姿勢。フラッシュを焚いて撮影するやら、デジカメと思わしきシャッターを切る音が耳につくやら・・・。別に倫理感を説くわけではないが、観劇する姿勢としては問題のある方が多かったようだ。

 歌舞伎はもっぱら幕見席専門の私。このエリアはそもそも無法地帯となる萌芽はあった。なにしろ幕見席です。手間隙をかけてチケットをとる根性もお金もない輩がたむろする地域(ちょっとおおげさ・笑) 正面玄関からははいれず、売店にもゆけず、はしっこの方の狭い入り口から4階まで急な階段を一直線。玉三郎の舞踊なんかの日にゃちょいと殺気立つ。並んだ順だから、妙齢の(年配の)ご婦人がちょっとでもよい席とろうと息もつかずに4階までかけあがる。最近は20代のコも増え、イヤホンガイドで英語バージョンも聞けるようになったため客層はますます雑多にエネルギッシュに変わってきた。笑う場所じゃないとこで爆笑する男の子やら(つぼにはまっちゃったのね)ナンパしまくるへんなガイジンやら(初来日で着いたばっかりで歌舞伎座の幕見席にくるひとりで来るガイジンなんているかい・笑)、こないだは中国系の男性にスパニッシュ系の女性のカップルが同行したお子さまが退屈してゲームなどはじめ暗闇の中スチャラカピーと派手な電子音が鳴り響く始末。

 私はこういうの嫌いじゃないんです。しょせん幕見席じゃん、芝居見物なんてそんなかまえてするようなものじゃないじゃん。なんて気持ちがないこともない。

 だけどそれは無法地帯幕見席の中だけで起こっていることだからこそ。3階席の人にも最近の無法っぷりは伝わっているのねとちょっと驚き、それをblogで知ることができるということにまた少し驚いたりもしたのでした。

 いくら安価な席だったとしても、最低限のマナーくらい守らなくちゃいけないです。はい。

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助六由縁江戸桜

 今月のスカパーは歌舞伎チャンネルに加入してみた。そんで助六(平成12年新橋演舞場)。全く予備知識なく見たので、最初どこが「見所」なのかよくわからなかった。花魁たちはそれはそれはきらびやかで、見ているだけでもうっとりしたし、新之助の顔の骨格の端整さとか、時折ぎらっと光る目つきとか勘の強そうな口の端とかは魅きつけられるものがあったのだけれど、部屋でテレビで見てる分には長すぎ。でも三津五郎の白酒売が出てきたところで俄然面白くなる。話をわかった上で見たら、新之助の立居振舞なんかももっと没頭して楽しめたのになーとちょっと残念でした。

 新之助は本当に美しい役者さんだ。でも私は誰が好き? って言われたら三津五郎とかのほうがいいなー。やっとちょっと個々の役者さんに目が行くようになった感じだ。なにしろ今までに見て一番気に入った演目は「椿説弓張月」で、あれは素晴らしい舞台装置に役者さんたちがほとんど埋め込まれていたような印象を受けたものだ。

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初春大歌舞伎 夜の部

 1月大歌舞伎の夜の部へ行ってまいりました。最近の幕見席では、英語版イヤホンガイドも聞けるようになったからか、お客さん同士の「ちょっと失礼」「次の幕はご覧になりますか?」なんて会話も英語でかわされることが珍しくない。海外旅行に行ったみたいで楽しいわ。

■鎌倉三代記
 暴睡。起きたら女間者「おくる」が倒れていた。全く話についていけず。隣に座っていた20代の男の子は「シベリア超特急みたいだ~!」とバカウケだった。そんなに面白かったの? がんばって起きてればよかった。

■京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)
 「完璧な美の体現」 玉三郎のことをチラシにこう書いてあった。完璧な美ってああいうもののこと言うのかーと新しい言葉をひとつおぼえた気分です。私が想像できるのよりもっと、ほんの少し大きくしなう腕、ほんの少したっぷりときかされるタメ、ほんの少し早くポジションにはいる決めのポーズ。惜しげもなく繰り出される目もあやな衣装の数々。お囃子は総勢30人! なんとゴージャスな。そのどれもが渾然とあわさって、つまり、快感なんです! 美とは心地いいものだったのね。菊之介も初々しく可憐だった。

■花街模様薊色縫(さともようあざみのいろぬい)
 道成寺が終わったら4F席のお客さんの多くが帰ってしまいあせった。また新之助さんがダメ男の役をやってます。ダメついでにワルです。リプリーみたいです。実はこの人の声があんまり好きでない・・・ でもなんか気になる。華のある人だなーと思います。

歌舞伎座

市川海老蔵襲名披露記者会見

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旧金毘羅大芝居「金丸座」

 年末年始に四国に行ってきました。ちょっとずつ書いていこうと思います。

 まずは旧金毘羅大芝居「金丸座」見学。19世紀前半にたてられたこの建物、現存する最古の歌舞伎芝居小屋で、国の重要文化財です。昔の人力まわり舞台とか人力エレベーター(幽霊とか物の怪が舞台上にあがってくるシーンで使われる)のしかけなんかもそのままに残されています。廻り舞台は地元の商工会議所青年団の皆さんがボランティアでまわすのだとか。

 花道(の下)では案内のおじさまが、「勘九郎(だったかなー?)さんがこうばーっと走ってきてこのへんでこう脱いでこのあたりでもう完了してるんですよっ もうそりゃ早いのなんの!」と早代わりを熱く解説してくれました。

 そして客席にあった4本の邪魔な柱は撤去されるそうです。研究の結果、なくても構造上問題がないことが明らかになったそうです。確かにすんごい邪魔そうだった。

 上演中のビデオをちらっと見たけど、ほんとうに真っ暗。赤外線ビデオ? のような感じだった。あまりに暗いので、夜の公演はないと聞きました。

 第20回こんぴら歌舞伎4月3日から18日までです。

四国新聞

 そして、「のりこさん」のwebサイトを引用させていただきました・・・ けどトラックバックの使い方ってこれでいいのかなー 
 
第二十回記念「四国こんぴら歌舞伎大芝居」に行きたいのだ

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江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし

 暮れはなぜか歌舞伎が見たくなる。十二月大歌舞伎夜の部のトリは「江戸みやげ 狐狸狐狸(こりこり)ばなし」。化かし化かされる男女のコメディです。

 女癖の悪いなまぐさ坊主、重善和尚に扮するのは市川新之助。彼に「どうして俺はこんなに女にもてるんだろう」と言わせるほうも言わせるほうなら、言う方も言う方、そしてそれを聞いて大爆笑する観客も観客なのです。その観客のうちのひとりあることが何ともいえず嬉しかった・・・ って自分が感じているのがまた嬉しかったんですよ。

 粘着質な元女形の夫役を勘九郎、女郎上がりで重善和尚と通じているその妻を緩急自在の福助が演じ、「巌流島に行きたい」とベタなギャグをとばす新之助と織りなされる絶妙のコンビネーションに、生延びようとする歌舞伎界のしたたかさを感じた一幕でした。

成田屋公式サイト

歌舞伎座ホームページ

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