R.D.ウィングフィールド「フロスト気質」

Photo フロスト警部シリーズ4作目。現代の海外ミステリーではポール・アルテとウィングフィールドだけは読む。あとがきで知ったんだけど、ウィングフィールドって去年亡くなっていたんですね。あと未訳のものは2冊しかないということで早く読みたいような読みたくないような複雑な気持ちである。

 で、「フロスト気質」なんだけど、フロストの本は、もうこれは、ミステリーというよりむしろ「郵便配達夫シュヴァルの理想宮」とかヘンリー・ダーガーの「Vivian Girls!」とかを彷彿とさせるのであって、アートシーンには使いたくないアウトサイダー・ミステリーなんて言葉を使ってしまいたくなるのです。

 だって殺人事件やら誘拐事件(それも2種類)やら幼児いたずら事件やら昔のひき逃げ事件の蒸し返しやらが一度に発生して、それらの混沌が上下巻2冊にわたりみっちり繰り広げられたうえに、ぜんぜんまったくちっとも関連性がないんですよ(笑) フロストはしょっちゅう推理がはずれてるし、いきあたりばったりだし、もうなにがなんだかわかんないの。事件が起こり謎解きがあり犯人が明らかにされるという、美しいミステリーの型からぜんぜんはみだしちゃってる。にもかかわらず犯罪者は下劣で下衆ではあるのだがその下衆さ加減がなにか人間らしい。好きになれるというわけではないが私がさらに大嫌いな超人的なサイコキラーとかじゃなくて、そのへんはほとんど古典的。

 そのデントン署曼荼羅の中心部にいるのがフロストという下品な警部キャラなのだ。混沌として猥雑で下衆でお下品。でも仕事ってこういうものなのかも。長いので週末の二日間、たっぷりお下劣節を楽しめます。けなげなデントン署員たちが氷雨のなか猛烈な悪臭と闘いながら運河の底浚いをしている姿を、クーラーの利いた部屋で堪能できるなんて、なんて幸せなんでしょう!

 フロスト気質

 TimesOnline
 R. D. Wingfield, author and dramatist, was born on June 6, 1928. He died of cancer on July 31, 2007, aged 79

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クラシックの王様 ベスト100曲

Photo_2 著者のiioさんがナントに行っているすきにアップ。これが「ジャズの王様 ベスト100曲」っていう本ならあたしは絶対買わないのだ。なぜクラシックだと買ってしまうのでしょうか。それはもちろんiioさんの文体が面白いからなのですが、それと同じくらいに私はクラシックだとなぜか無精になってしまうのです。他のことなら、音楽であれ、バレエや歌舞伎であれ、本やお料理やファッション、コスメであれ、自分の縁を信じて自分にふさわしい出会いを求めてそのへんをさまようこと自体を楽しんでしまうのですが、なぜーかクラシックだと、誰かがいいよって選んでくれてるのを聴いてるほうが心地いいのです。同じ理由でエスクアイアのピアノ特集も買いました。付録CDにつられて(笑) 

 そんで「クラシックの王様 ベスト100曲」なんですけど、やっぱりiio節炸裂のとこが面白いです。須栗屋敏先生の、言い方は明るいんだけど微妙にネガティブな占いとか、各ジャンルの終りについてる「1分でわかる」シリーズのオチへのドライブ感とか、あとオペラの解説のとこが傑作なんですよねー。オペラって話に首をかしげてちゃいけないのねん。

 iioさんの本家ラフォルジュルネのナント・レポートももうおっかしくて、えーとおかしがっても気を悪くなさらないですよね? なんていうかアーティストとPS2で対戦しようと夢想したとか、USBメモリーでCD売ってるとか、なんかiioさん視点じゃないですかっ。つまり私はiioさん文体がすごいつぼにはまっちゃってるのですネ。もっと自分をだしたエッセイとか書けばいいのに~。

 とまあ、こんなことを書いたらシャイな著者さんが激しく恥ずかしがるだろうと思ってわざと書いてみました。心が美しいというより3万パーセント邪悪です。

「クラシックの王様」ベスト100曲
著者:飯尾洋一

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池波正太郎がこわい

Photo 「剣客商売」にはまりこんで、全16巻と番外編2遍を読了。ああ面白かった。人間、黒と白をあわせもっている辻褄のあわない生き物だけれど、それも含めて、「かっこいい」っていうのはどういうことか教えてくれる本。ああかっこいい。顔がいいことも悪いことも、お金があることもないことも、権力をもつことももたないことも、浪人も仇打ちもウナギ売りもかっこいい。こういうものが老若男女の読者に何百万部も読まれているのなら、そんなに日本の将来、悲観することもないんじゃない?

 しかしふと我にかえる。思い起こしてみるに、私は池波ファンを公言する人で好きな人間に会ったことがない。小兵衛のように強くもなければ、人望も人脈も、気前よく周囲に「こころづけ」を渡す気前も器量もないくせに、小兵衛に接するように自分に接することをなぜ他人に期待するのか。いったいこの人はなにをきどっているのか? と疑問に思うこと多々あったのだが、あー池波正太郎だったざんすね。読んだことないからわからなかったざますよ。いいけど。

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いまさらなんですけど「ウィキノミクス」読んだ

Wikinomics_2 6月に買ったきり放置していた「ウィキノミクス」をパラパラ見る。要約したり感想を書いたりする見識はないので、帯の紹介文と、自分として「ふーん」と思ったところを抜き書き。

ウィキノミクスの行動原理は4つ---オープン性、ピアリング、共有、グローバルな行動。
 オープンソース企業は、ソフトウェアやそれを提供するビジネスモデルに対する考え方からして違っている。結果的にコラボレーションとなるのではなく、最初からコラボレーションを前提にソフトウェアを設計するのだ。ポレーゼは次のように語る。「オープンソースの世界では、ばらばらのコンポーネントが集まって大きなエコシステムとなります。コンポーネントやプロジェクトを構築するとき、まず、そのほかの部分とどのような形で相互運用できるようにするのか、から考えます。つまり、ソフトウェアの書き方やソフトウェアの世界で事業を行うやり方に対するアプローチ自体が大きく異なっているのです」
 お金が稼げるかどうかは……すべて、価値の追加にかかっているという。「保守やサポートをしっかりと提供すれば、顧客を満足させることができます。ほかのソフトウェアとの相互運用性も提供できます。そして、常に追加されていく。時間がたてばたつほど、製品がよくなっていくのです」P145~146

 そうですか。

 それはさておき。

 ネット系のビジネス書を読むと、自分の頭の中で、文化論の話に強引に変換したくなる誘惑にかられます。たとえば、「そんなこというけど、世界にはインターネットにアクセスできる環境を持ってない人だって、たくさんいるんだよ?」みたいな。ウェブのことを語る語り口って、すべてはウェブの中で起こってる、みたいな書き方してて気持ち悪いと思っちゃうんですよね。でもそれって、それだけインターネットが自分の生活にはいりこんでいるので、技術やビジネスの話として客観的に考えられなくなっているということなのかも。使い分けないとね。意識的に。と思いました。

Photo 最近、池波正太郎にこっています。渡辺哲夫センセイが言ってたよ、「死者の支えを失ったとき、人は狂気に陥る」って。この場合の死者って江戸時代の人々のことですけど。でもインターネットに過去ってないのよね。

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読まず嫌いの人のための「池袋ウェストゲートパーク」

Photo 今、4冊目にとりかかりちゅう。主人公、真島誠のキャラが面白すぎ。マコちゃんはストリートギャングというよりストリート探偵というより、

「いまどきの高等遊民(死語)」

 っていう感じ。妙に読書家で音楽好きで、ちんぴらのくせに(失礼)ファッション誌のコラムなんか書いてて、ユニクロのジーンズばっかりはいてるくせにファッションでも北欧のデザイナー家具でも世界情勢でもなんでも知っている。こういう人いますよ、いやマコちゃんみたいな人はいないけど、状況的にこういう感じの人。親が地元で商売やってて、すごく資産があるわけじゃないけどとりあえず家賃の心配はしなくてよくって、ものしりで趣味に走ってて、友達の多い人。

 っていうマコちゃんのもともとの資質にプラスして、いまどきの「高等遊民」って大学になんかいないんじゃないかなって感じもうけた。大学はね、学閥をつくって有利に就職するためのところ。いまどきの高等遊民はニートとかフリーターとかひきこもりとかの人の中にいるだろなって思った。

 写真は読み終わったばかりの3冊目。このへんで、妙な話だけど村上龍の長寿エッセイ「すべての男は消耗品である」を思い出した。あれも、そのときどきの時事的な事柄や風俗をフックに、筆者が自分の考えや関連するいろんなカルチャーを伝えてくれるものだけれど、「消耗品」が暑苦しいのと(スミマセン・・・ でも事実だし)比較してマコちゃんは都会の人なのでとっても軽やかなのだ。

 だってマコちゃんはすごいへん!(笑) ラーメン屋の行列にならびながら突然プルーストがでてきたり、西瓜を売りながら臆面もなくクラシック好きだし(ぼくってオタクっぽいかな・・・ なんて悩んだりしない・笑)、それがまたへんな場面でへんな、いやへんというかピンポイントで思いもかけないつぼをつかれる、みたいな曲を聴いてたりするわけですよ。そうかと思えば、生まれてくる赤ちゃんを守るために大人たちがものすごく苦しい思いをこらえる、っていうような切ない場面でワルツ・フォー・ベビー、もといワルツ・フォー・デビーを聴くはめになってたり。ダジャレかい! 衣良サマってとっても人が悪いのね。いやん。

 というわけでとっても楽しく読んでいます。ひとつひとつのお話が短いので、こんなこと言うと怒られるかな、更新を楽しみにしてるブログを読むような感覚です。10年前の1作目で「まんがっぽい?」って思ってそれきり読んでなかったそこの中年のアナタ! これはくせになりますよ~。まだあと4冊もある。うれしい(LOVE)

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明日の「幻想即興曲」は必見ですよ!

11月17日 
◆グランプリシリーズ フランス大会 ショートプログラム
 真央ちゃんがここのところショートプログラムで失敗していたコンビネーションジャンプがまた跳べずに泣いてしまう。それでもトップだったんですよ!? ほんとにこの人、大物なんだなあ。明日のフリープログラム「幻想即興曲」はぜったい見逃せない。しかし2位のキミー・マイズナーの立場は?

フィギュアスケート・グランプリシリーズ・世界一決定戦2007 第4戦フランス大会

◆北京五輪予選ベトナム戦
 前半で3点もとってすごいすごいと喜んでたら後半で大苦戦。楽ができる試合ってないのですね。

11月16日 
◆オシム監督、急性脳梗塞で倒れる。えええ2、3日前に埼スタで元気そうだったじゃない!?

11月14日
◆浦和レッズ、ACL優勝。おめでとう! 試合が終わったあと、選手たちが「歓喜が爆発」っていうよりなんかほっとしたというかしんみりしてたような感じで印象的だった。最後の記念撮影のとき、後ろから紙吹雪がふきあげられるじゃないですか。あれ赤かったらよかったのにと思ったの。

Photo 最近印象に残った本。

◆佐々木俊尚「ネット未来地図-ポスト・グーグル時代20の論点」文春新書
◆NEWSWEEK日本版 11/21号「グーグル危機?」非英語圏のサーチエンジンを紹介。特集タイトルはちと言いすぎ。気持はわかるけど。
◆週刊SPA! 11/20号 「ポイント収集&キャッシュバック ネットで[小遣い倍増]作戦!」
 果敢にポイント稼ぎにトライする記者魂に感銘を受ける。自給何十円とか(笑) ポイントサイトの広告効果ってどうなんだろと考え中。

 ミステリーランキングにはいりそうな本。

◆アン・クリーブス「大鴉の啼く冬 」創元社
◆ギリアン・フリン「KIZU―傷―」 ハヤカワ・ミステリ文庫

 どっちも女性の作家で、閉鎖的な社会でなにが起こるのかっていう話。前者はシェットランド島が舞台で抒情的、後者はミズーリ州の架空の町ウインド・ギャップが舞台で心理的によりハード。両方とも読み応えがありました。しかしこの邦題、なんとかならんのか。気持はわかるけど。

◆新堂冬樹「溝鼠」 

 仕事からみで。いわゆる変質者の変態的世界。なんども吐きそうになり、とばしながらなんとか読了。残虐で好きになれないと思っていた翻訳のノワール小説やサイコサスペンスがいかに洗練されているのか知る。しかしながら妙にブンガクぶってないところに好感。よく書いたなー。気持はわかります。

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神田古本まつり2007

 神田の古書祭り。今年は 10月26日(金)~11月1日(木) だそうです。

 忘れもしませんよ、その前日? かな、ヤスケンがウェブサイト上で余命一ヶ月とかいいだして、いつもの朝カルが休講になっちゃったから行くところなくて朝カル軍団と神田をふらふらしたあげく、結局、いつもヤさんとだべっていたファミレスに集結したとかいうことがあったのでした。それから怒涛のようなファイナルカウントダウン祭りが始まったのであった・・・

神田古本まつり

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本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

Yukiko_motoya この人すごいですよ! 今さらなんですけど、映画になってたので読んでみた。これを言う人があらわれるべきだったんだってほんとにそう思った。作家は炭鉱のカナリヤだ。一般ピープルが気付かない重大なことにいち早く声をあげる。すごいなー。ちょっと前の本&映画公開から日もたってるので以下ネタバレ。

 田舎町の壊れていく家族の話。話の軸になっているのは女優志願の長女。少しきれいなだけで特別な才能もないのに、異常な自己愛で自分は特別だと思い込んでいる。妹はおののきながら魅入られたみたいに姉の異常さを観察し、どこかにはきださずにはいられなくなってマンガを描いてホラー雑誌に投稿したところ、編集者に注目されてしまう。現実に直面できない姉の精神を支えるのは血のつながらない兄とのゆがんだ関係。兄の嫁はエジプトに雨をふらせるほどの天然な菩薩っぷり。どうしようもない絶望的な状況がものすごくつきはなされた筆致で描かれる。

 ブログなんか書いてる人で、この長女に、そしてそれをネタにしてしまう次女に、少なからず自分を重ねる程度の自意識のない人と私は友達になれないと思う。

 高橋源一郎氏のあとがきに深く共感するものがありました。氏はこの小説を「実存主義的」であるといい、、第二次大戦後の「実存主義的」小説とよく似ていると評した上でこういうのです。

 では、なぜ、二十一世紀になって、前の大戦から半世紀以上も過ぎて、そんな作品が出現したのか?

 我々の知らないところで、実は、戦争が起こっていたのではないだろうか。そして、それは、前の世界大戦に比すべき大きな戦争だったのではないだろうか。
 国家と国家が戦う戦争は、誰にでも理解できる。だが、そうではない戦争もまた存在するのではないだろうか。
 「戦後」六十余年、見えない機銃掃射で、人々は倒れなかったろうか。夥しい無辜の死者が、日々生まれつづけているのに、それでも、誰も、それが「戦争」の被害者であるとは気づかないのではないだろうか。

 氏の批評に共感したの初めてダワ。冨岡多恵子に似てるとか思いました。ほかのも読んでみよっと。あと12月には劇の公演もあるらしい。演劇って(歌舞伎以外)ほとんど見たことないのです。こちらもぜひ見に行ってみたい。映画もまだやってるみたい。

 劇団、本谷有希子

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サラ・ウォーターズ「夜愁」上・下

Photo 生意気に忙しがっておりました。暑いのに外に出る機会も多かったのに、よくがんばってる自分に感心してしまいました。ああゆっくり休みたい。しかしヒマならヒマで文句を言ってそうである。この土日はやっとちょっとだけ一段落したのでゆっくりできました。ミステリーを買い込んでいっき読みしたです。ああミステリーっていいな~。これが娯楽ですよ! エンターテインメントですよ!

 読んだのはサラ・ウォーターズの「夜愁」。土曜の夜に読み始めて日曜の午前中には上下巻とも読了。至福・・・。「半身」は構成がちょっとしんどかったんだけど、「茨の城」はストーリーが古風でおおらかな冒険譚みたいですごく楽しめた。この「夜愁」はミステリーの要素はちょっと薄くて、戦時下・後の人々の群像劇みたいになってる。パトリシア・ハイスミス、ルース・レンデルとかの女性作家のパラノイア的な心理描写に共通するものがあるんだけど、ハイスミスやレンデルより作者の登場人物を見る目が温かい感じ。戦争中でも、いやそれだからこそなのか? 人々は好きだの嫌いだの嫉妬だの心変わりだの自分の殻から脱けでれないだの罪悪感だの、いろんなものをしょってそれでも生き延びようとするわけですよ。描写が細部にまで行き届いて快感。読む快楽。

 しかしいまどきは話者をひとりの登場人物に統一したミステリーっていうのはありえないものなのか。どんどん視点が変わって、それはそれで映画的で面白いんだけど、ハイスミスのような限りなく一人称に近い三人称によるどうにもならない閉塞感もまたちょっと恋しかったりするのである。

 あとね、ポール・アルテの新刊も買ったの。私この人の本て、楽しみすぎてあとにとっておいて実際に読む頃にはテンションさがってた(私の・笑)なんてことが2回ほどあるものですから、こんどは早く読もうと思う。

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To say goodbye is to die a little.

The_long_goodbye_by_haruki_1 宿題みたいになってた村上春樹訳「ロング・グッドバイ」をやっと読了。素晴らしすぎて至福。チャンドラーの文体なんて考えたこともなかった。ヘミングウェイの「誰がために鐘はなる」みたい。本来、そういう作家だったらしいですよ。

 ちょっとまえに清水俊二訳「長いお別れ」を読んだんだけど、こっちはかなり相当、原文をはしょっているのだそうで(熱心なファンには周知のことだったらしい)、その分すごくスピード感というかお話にリズムがあってエンターテインメントしてる感じ。なぜか私の頭には「三つ数えろ」のハンフリー・ボガード&ローレン・バコールの絵が浮かぶ。「誰がために・・・」のイングリット・バーグマンとか。そんで、正直、かっこよすぎてちょっと笑っちゃう。

 新訳はほぼ原文に忠実なのだということ。作中にほとんどでてこないテリー・レノックスの造形が、お話がすすんでいくなかでだんだん明らかになっていくんだけど、ここがすごく迫ってくるんですよ。この書き方すごいなー。ハードボイルドってこういうものなのよ。このテリー・レノックスだからいいのですよ。みんな弱くて感傷的なところを持っているから生きていくのがハードなわけですよ。もうねー、夕暮れのギムレットとか美女の誘惑とか決め台詞とか殴り合いとかそういうのだせばハードボイルドなんじゃないんだからー! ハードボイルドを殺したのは誰なんだと私は強く問い詰めたいっ。って誰をかわかんないけど。

 はーステキだった。もういっぺん最初から読んじゃおうかしら。

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渡辺千賀「ヒューマン2.0-web新時代の働き方(かもしれない)」

Human20 シリコンバレーの第一線で働く女性コンサルタント、渡辺千賀さんが若者たちに贈る「会社に頼らず働くためのヒント」

 ということだそうですが、これがもーうすごい痛快で面白いの! 「こういう価値観がある」ってことを提示されたのがものすごく新鮮でした。

 私は英語ができないし高度な技術も人脈も学歴も家族もなければ若くもないゆえ、一歩間違えればすごくひがんで受け取ってた可能性もなくもないのですが、これをそうとっちゃうのもったいないとか思っちゃった。シリコンバレーで働きたいって思ってる学生さんとかが読むのもいいけど、「ハケンの品格」で感動しちゃった派遣社員のおねえさんたちが読んでも得るところがあると思いマス。ユーモアの中にけっこう毒があります。私はそういうの大好き。

 気に入ったところはこんな感じ。

◆「互いに理解できないのは当たり前」
 宗教・人種・出身地・文化的背景が異なる人たちの寄り合い世帯なんだから、相手の心のヒダがわからなくても仕方ないよね、わからないところは置いておいて、わかりあえるところで協力していこう、という前向きな態度の人が多い。ということ。

◆カリフォルニア州では「競合企業への転職を禁じてはならない」という法律が19世紀からある。
 日本だと会社が禁じてることありますよね。守秘義務は守らなくてはいけないとしても、転職もしちゃいけないなんて、人(の仕事とかキャリア)をバカにしてるとか前から思ってた。

◆レイオフが「常態化」した中では、「継続的に努力し続ける」ことの重要性を否が応でも気づかされる。

◆会社の全ての機能について、それを専門にしているフリーランスがいる、と考えてよい。
 増資や売却の際に「外向きに見栄えのいいCEO」をぱりっとやってくれるフリーランスさえいる。マーケティング、PR、テクニカル・ライター、経理、人事、報酬体系だけを専門にしている人、レストランの戦略立案、糖尿病関連市場調査、医療機器事業のファイナンスのモデリング、医薬品の許認可、などなど百花繚乱だとか。私が関係あるのはここかな・・・。

 私は最近、ベンチャー企業さん相手のコンサル&PRの個人事務所で現場レベルのお手伝いとかしてるんですけど、もうねー、今までいかに自分が大手広告代理店さん経由の大手企業さんのお仕事に抑圧されてたか、ほんと思い知りましたよ。だってPRとか言ったってプレスのほう向いてる人だれもいないんだもん。もうほんと、こんなくだらない情報のために多忙な記者さんの時間さいてもらうのいやだとかそういう気持ちがすごく強くなってしまって、私プロ意識ない? とかけっこう悩んでた。

 ベンチャーはいいですよー、みんな必死だし話はやいしなんでもものごとがどんどん進むしあてにされるし、だから自分も集中するし、やったこと勉強したこと出会った人みんな自分のスキルとして身につくし、「こんなのできない・・・」と思ったら人の(代理店さんの)顔色うかがってないで自分で勉強すればいいんだよね。

 という気がしています。ただし今のところあまり戦力にはなってない(←白状)

 そういうふうにやっていくつもりなら、すごく勉強しないとね。それはもちろん、自分の身の丈というものはありますけどね。でも自分の身の丈なりにさ。

 というものすごくシンプルなことに気付いてとっても刺激を受けました。がんばろっと。

 On Off and Beyond 
 [渡辺千賀]テクノロジー・ベンチャー・シリコンバレーの暮らし

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マリ・クレール1989年8月号ゲト!

200704272045000_2 150円でした。Sさんありがと~。当時のマリクレでこの号(81号)だけ私は今でも忘れられずにいたのだ。中でも「岡本かの子生誕百年」記念の吉本隆明サンの講義録にぶっとんだものだ。小瀧達郎さんの写真入りで三段組み全10ページ! 200704272048000_2古本好きの方は見に来てください。あーあと山本容子の挿絵で「つぐみ」の連載してた頃の1冊ほしいなあ。

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1988年のキース・リチャーズ

200704262124000 またでてきた(笑) Switchの1988年12月号。あれから最低3回は引越ししてると思う、いや5回くらいか? 何回引越したかなんてもう忘れてる。なぜに私はこれを後生大事に持ち歩いているのか、謎。

 あ、村上春樹の「ロング・グッドバイ」、買っちゃいました。早く読みたくなってしまったのです。
 

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清水俊二訳「長いお別れ」

The_long_godbye 村上春樹の新訳「ロング・グッドバイ」を図書館に予約し、待ってるあいだに清水訳の「長いお別れ」を読んでみた。

 これいいっすよ~(LOVE) 初めて読んだのは学生のころ、なにがいいんだかおばかな私にはちょっともわかりませんでした。そりゃそうよ、これは中年のためのエンターテインメントなのよ、今となっては登場人物たちはみな同年代、自分の身の丈はもうわかっちゃってるけど、でも譲りたくないことってあるのよね。

 マーロウは年中妙なことにまきこまれて全編通して「やれやれ」とか言いまくってる。いや言ってないけど、まあそんなようなものなのです。ハードボイルドって「やれやれ」の美学だったのね。村上春樹の登場人物とある意味そっくり、なるほど、そういうことだったのか。古く感じるかなと思ったけど全くそんなことはなかった、やっぱり不朽の名作だ。

 新訳はミステリマガジンでちらっとみかけた限りではもっと「かっこいい」印象。こちらも楽しみ。名作の新訳がでるとかならず賛否両論わきおこるんだけど、いいじゃないですか、みんながお上品な感想しか言わないなんて気持ち悪いですよ。ルネサンス期のフィレンツェとかだったら鍛冶屋のおっちゃんまで絶対喧々諤々だったに違いないと思うもの。

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山本容子「世界と遊ぶ方法」

200704221837000 長持ち(のようなプラスティックケース)をごそごそやっていたら、Switchの1994年3月号がでてきてすんごい驚いた。巻頭は山本容子さんのグラビア&ロングインタビュー「世界と遊ぶ方法」。表紙の写真の右手が黒いのはもちろんインク。手でインクをのせていくから。上半身裸のショットも2枚。氏は「私はいつも刷るときはそうしているわ」とうそぶくのであった。

「すべては遊び。なぜそんなことをするのか。その回答はまず自由の追求だ。時代より走りすぎているといわれても、私が走っているのではない、あなたが遅れているのだ」山本容子

 エッチング機の前にアーティストを全裸でたたせたマン・レイの作品を例に、 

 ほれぼれするその写真を例に山本容子は最初にまず自分の手を撮ってほしいと願った。右手と左手の太さの違い、左は華麗な気品であり、右は荒々しい生命力がほとばしっていた。(編集部)

 もうねー、かっこいい。ナンセンスとか遊び感覚というのは「反逆」なんだなー。よしもとばななのエッセイのおびに「人生はJOYだ。そう思うことだけが反逆なのだと思う。 」と書いてあったんだけど、そんな感じ。

 私は雑誌とかそんなにとっておくほうじゃなくて、ヤスケン時代のマリ・クレールさえ全部処分してしまったのになぜにこれだけとってあったのでしょうか。よほど印象深かったのに違いない。このころの氏の年齢に私は近づきつつあると思うと、自分のスケールなりにしっかりせねば、と思ってしまう。

 しかしなにやってるんだ私。部屋めちゃくちゃ。ブログとか書いてるし。

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自分を甘やかした週末

 フジロックの屋根と布団と1回500円(たぶん)のお風呂確保。ありがと~。友達が70リットルのリュックを貸してくれることになっているのだけど、ふだん気にならないとはいえ椎間板ヘルニアもちなのでがらがらひっぱっていけるものを買ったほうがいい気がする。どういうのがいいか思案中。

 目黒川の桜の下をジョギング。川面を埋めるくらい花びらが散っていて、上流にむかって流れていた。風なのか、満ち潮だったからか。目黒川って満潮だと逆流するのでしょうか? 不明。

 お洗濯たくさん。すぐ乾くので調子にのってなんでも洗ってしまった。

 シャーマニストって言葉あるのかな。辞書でひいてもでてこないし、Googleだとちょっと出てくるけど、どういう定義かよくわかんなかった。

 アルビは勝ちましたね。

 読書たくさん。

オルコット「若草物語」
 この邦題もよくつけたものだよなー、原題「Little Women」っていうのでしょ? 地下室から屋上までのぼっていく「天路歴程」ごっことかピクウィッククラブとかにわくわくしたものだけれど、今読むと姉妹の貧しさにたじろぐ。たじろぐ自分にまたたじろぐ。

トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の仲間たち」
江国香織「リトルスウィートライズ」 
桐野夏生「リアルワールド」
有川浩「図書館戦争」

 「財務諸表入門」と「BtoBブランディング入門」には手がつけられませんでした・・・。明日からやります。今週末は楽しいことばかりやっていたかったのです。

 春ですね。 

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「恐るべき子供たち」光文社古典新訳文庫

Les_enfants_terribles 光文社古典新訳文庫がすごいことになっている。「眼球譚」が「目玉の話」に、「星の王子様」が「ちいさな王子」に、カミュの「異邦人」の冒頭が「今日、母さんが死んだ」になっている(これはどこかで読んだ・・・ 文庫本にはなってないみたいです)。それならいっそ、某大ベストセラー本にあやかって「今日、おかんが死んだ」にすればもっとインパクトあったかも。だめ?

 「恐るべき子供たち」は中条省平・志穂両氏による新訳。私は鈴木 力衛(1957)の訳も佐藤 朔(1977)も高橋洋一(1995)も読んだことがない。東郷青児(1934)のあのものすごい過剰なデコラティブな文章がいいの、とか思ってたので(笑) こんな私に新訳を云々する資格があるだろうか。いや絶対ありえない。改めて比べてみたらほとんど「超訳」みたいなとこもあって、あれはほんとに東郷青児の世界だったんですね。

 新訳はすっきり明晰でコクトーのイラストもふんだんに挿入されててあらたにこの本に出会った感じ。フレッシュです。ってそりゃそうでしょって感じですが。クールで疾走感があるのです。Mlle Cさんによると、

仕事帰りの電車の中で読み始めてまずあれっと思ったのは、原文の時制をかなり変えてあること。かろやかで、スピードの感あるコクトーの言葉を、テンポよく日本語にするための工夫なのだろう。もともとは長く連なっている一文を短く切って複数の文章にバラしている箇所も多く見受けられた。

 ということなんだそうです。そういうことなんですね。ありがとうございます。

 エリザベートとポールの病気のお母さんが35歳だったとあらためて知り、サザエさんが25歳と知ったときと似た衝撃を受けました。

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さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生

Photo_8 伊東 乾 さんの「さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生」を読む。もちろん私は著者が現代音楽のどういう人かとか全く知りません。 地下鉄サリン事件の実行犯と東大で同級生だった人が書いた本。2006年の第4回開高健ノンフィクション賞受賞。

 私は「この本信用できる」って思ったところが2つあって、ひとつはこの本はすごく感情的な本だってことで、だって同級生がオウムの実行犯でその友達のこと書こうとして当然「自分にもオウムにはまっちゃう心のスキみたいなものはあるかも・・・」とか考えると思うし、感情的にならないほうがへんだよとか思う。でも豊田被告の意向もあって、豊田被告の心情などは拘置所での会話ではなく裁判の陳述で紹介してるから、必要な客観性とか距離はちゃんととれてると思う。
  
 もうひとつはどんどん発想が飛躍するところで、物理学からヨーガからナチスにルワンダ、玉砕に失敗学に楠公精神まで、そういう発想の飛躍を刈り込むんじゃなくてどんどん書いていくところが、私は信用できるって思った。たとえばどっかの会社が事業資金を募ろうとして事業計画書とか書いたらそれは発想が飛躍しちゃいかんわけですよ、市場の調査とかユーザーのニーズとか自社の適性とかを理詰めで説明してくれなくちゃおっかなくて投資家は投資なんかできないですよ、でも個々の人間てそういうものじゃないと思うのです。その発想の飛躍の仕方がその人らしさをあらわすものなんだろうと思う。だからこの人は、とにかく正直に書いたってことが伝わってきた。裁判の判決は事業計画書に似てるな・・・ でもこの人が書こうとしたのは、個々の人間なんだろうと思う。だいたい、どんな欠点があろうとこの立場でこれ書ける人ほかにいないわけだし。この人がこれ書いてくれて私はすごくよかったです。

 作曲家の吉松隆さんがご自身のブログでこの本の紹介をされてるんだけど、こちらも興味深い。え、現代音楽ってそうなんですか???

 八分音符の憂鬱

 また 日本海側で大地震。うちの実家(新潟県下越地方)も、中越地震くらい揺れたらしい。お友達とかお友達のお友達とかお友達のお友達のお友達とか、みなさんご無事ならよいのですが。

 この一週間はもうやることいっぱいあるのに、スケートにシンクロにサッカー、テレビばっかり見てた、シンクロはデデューのソロ「マリア・カラスの生涯」がすごくよくて、水しぶきが効果とか演出みたいだった。世界フィギュアスケート選手権2007東京は、みんな若くてねー、でもいい結果がでてよかったです。男子は高橋選手が2位、女子はミキティが優勝、真央ちゃんが2位。来シーズンも楽しみです。サッカーは久しぶりのオシム・ジャパンでやっぱりA代表っていいなーとか思ってみてた。

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佐藤さとる「だれも知らない小さな国」

Koropokkur 1959年に発表された、日本初の本格長編ファンタジーと呼ばれる傑作。子供のころ読んだんだけど、雑誌で佐藤さとる氏のインタビューを見かけたのでもういっぺん読んでみた。

 子供のころの記憶では、このお話、童話に似つかわしくないなんかもの哀しい印象があったのだ。小人たちはいきいきしてて、少年との交流も楽しそうで、ハッピーエンドにも関わらず。あらためて読んだらそのわけがわかったような気がした。

 ストーリーはこう。ある田舎の町で暮らす少年が、誰も近づかない小さな原っぱ&小山を気に入ってよく遊びにいくようになる。そこへ小人が姿をあらわす。あっ、と思うんだけど、姿をあらわしたのはいっぺんだけ。戦争をはさみ、大人になった少年は再び小山を訪れ、また小人たちに出会って仲良くなる。主人公は小人たちを守るために道路建設計画を阻止しようと奇策を考える。作戦は成功して小人たちと少年の大切な場所は守られたのでした。

 っていうんだけど。

 なんかこの少年(後半では大人)がね、小人たちと、小人を理解してくれるもうひとりの女の人以外を受け付けないようなところがあるんですよ。話の性格上、そういう展開になるのは当然といえば当然なんだけど、なんか必要以上にそんな感じがした。

 たとえば、大人になった主人公のそばにはいつも小人たちがいるので、なんにもかくしごとができない。でも青年はそれを疎ましく思うどころか、いつも見守られていることがうれしくて、小人たちに「心をあけわたしたようなもの」とさえ言う。未知の文化をもつ人々とこっそり交流するのはわくわくする体験だと思うけれど、電気工事店で働きながら小人たちに「心をあけわたして」しまう青年は、いったいどれだけさびしかったんだろう、って、大人になった私は考えてしまったんです。
 
 背景にあるのは戦争です。ほんの10行程度の描写。家がやけたのをとくいになって話しあったり、小型の飛行機にばりばりうたれる命がけの鬼ごっこがおもしろくてたまらなかったりする。お父さんは帰ってこない。子供たちは奇妙に明るい。その10行が大人になった私には重かった。戦争が終わったあと、変わらずにある小山を見出した青年は、歓びのあまりにその小山に(心理的に)閉じこもってしまいたいと、つまりそれくらい深く、傷ついていたんじゃないのかな。って、考えてしまったのです。

 子供のころに感じた「もの哀しさ」はこれだったのか。

 挿絵は村上勉さん。このイラストがまた繊細で奥深いんですよね。わくわくするようなおとぎ話でありながら、なんだか、切なかったです。

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綿矢りさ「夢を与える」

Photo_7 この人の新作を待ってたのです。幼いころから芸能界で人気者だったある女の子のお話。北野タケシの映画「キッズ・リターン」の女の子版という印象。でもタケシの映画では男の子たちはキッズにリターンするけど、女の子は女の子にもどることはできないの。なぜならそれは女の子だから。

 心情的には、「美少女作家」と呼ばれてストーカーにまであった氏自身の感じた部分も反映されてるように見えた。そうだとしたら(あくまで憶測ですけど)、それをこんなにハードボイルドにしかも抒情的に書いちゃうなんてすごい。文章も構成もますますスケールアップ、陳腐な例えだけど、ほんとに大輪の花が開こうとしてるみたいな感じ。女の子&元女の子必読。

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江戸っ子とネット文化な休日

 今売ってる都市出版「東京人」3月号で、安原真琴さんが、88歳の現役吉原芸者、みな子姐さんのインタビューをされています。写真はタカザワケンジさん。

 東京人

 自宅のパソコンがいよいよ起動しなくなってしまったので、ニューパソを入手するまでしばらくお休みします。生きてますので連絡・お誘いは携帯に直接ください。会社ではネットは当然利用してますけど、mixiとかはあんまり行かないかもです。

 今日は上野にお墓参りにいって、帰りに上野桜木のお宅におじゃましました。ここのとこネット系のことを考えたり勉強したりする機会が続いたので、生粋の江戸っ子のお姐さん方とお話するのはフレッシュですごく楽しかったです。江戸っ子とネット文化って、ほんとには、接点ないかも。理解しようとする努力はあり得るとは思うけど。でも過去を切り捨てると、人間て正気を保っていられなくなるんじゃないかって気がします。

 これは上野のまんが喫茶から書いています。はじめて足をふみいれました。きれいでおしゃれなお店は満席だったので、ちょっと地味な感じのとこにはいったんだけど、カーテンでしきられた個室がなんともいえない風情です。

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小川洋子「海」

Photo_4 寝る前に甘いホットミルクをこしらえて、ふと気が向いてインスタントコ-ヒーをひとさじいれてみたら、全く眠れません。今6時前、もう寝ません(苦笑) 明るくなるにはまだちょっと間があるかな。

 小川洋子の短編集「海」を読む。2004年から2006年にかけて発表されたものが採録されている。小川洋子のお話の登場人物って、みんなすこしどこか壊れていたり欠けていたり不安定だったりするんだけど、その欠けてしまっているところをなぞる作者の指先のなんと注意深く繊細なことか。否定も肯定もしないで、ああここが欠けているんだ・・・ とそっとなぞる。そういう世界があるだけ。激しくうっとり。

 売れたかどうか、という意味では「博士の愛した・・・」とは比較にならないだろう。でも私はこのひっそりたたずんでいるみたいなこの短編集がもっと好きです。短篇ってそういうものなんじゃないかな、なんて思ったり。吉田篤弘さん、浩美さんの装丁がまたすごくいいんです。

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買いました

Classic_book←サインください(笑) 銀座のBook1stでものすごい勢いで平積みになってました(報告)。これ表紙に著者の顔写真とかはいってたらもっとインパクトあったかも。書店の目立つコーナーにiioさんの顔がいっぱい。ぷぷ。

 ヨーロッパの音楽家については、私はフリードリヒ・ヘルツフェルト「わたしたちの音楽史」を読んだことがあったのですが、こっちは伝記としてすごすぎて奇人列伝にしか見えず、音楽家の話だってことを忘れてしまうという難があり(私的に)、でもこの「クラシックBOOK」はのだめも「2001年宇宙の旅」も「敬愛なるベートーヴェン」もでてくるし付録CDもついてて、ちゃんと今の音楽好きの人のための本で(当たり前だけど)うれしいデスヨ! 笑ってしまうので電車では読めませんけど・・・。

 そんでいそいそと付録のミニCDをかけるのであった。それが茂木大輔サンの選曲がまたもう~すごいんですよ! 顔がゆるんでよだれでそう・・・。ショパンの「別れの曲」はモニク・アースという人よりタマーシュ・ヴァーシャリという人のが好きかも。あ、なんかツボにはまったかも(笑) CDは誰かが選んでくれたの聴いてるのが楽しいなー。

 コンサートはといえば、今年はベルリン・フィルに行こう! と思ってたんですが、フジロックに3日間参加する可能性が高いので、そういうビッグイベントは1年に1度にしておこうと思って、ベルリン・フィルは来年にとっておくことに。私がいくまで解散しないでください。だって今度行こうと思ってると絶対解散したり死んじゃったり引退しちゃったりするじゃない。知り合う前に引退しちゃったラインハルト・ゲーベルという人、いったいどういう人なのか未だに謎です。

この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!
クラシックBOOK
飯尾 洋一

自分的メモ:タマーシュ・ヴァーシャリのショパン

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悪性単細胞と重症理想主義

Mumintroll なんかムーミンがかかりつけのお医者さんにそう診断されていました。いやほんとに。

 ガルシア・マルケス「わが悲しき娼婦たちの思い出」をぱらぱら眺めるも三分の一くらいで挫折。私はブコウスキーとかのほうが好きなのでこれはちょっとはいっていけませんでした。あんまり間口を狭くしないで読んだほうがいいのかもしれないんですけどね。まあいいやといって放り出す本が年々すごい増えているような気がする。

 経営コンサルタント(のアシスタント)の勉強をしなくてはならないようです。マーケティングやブランディングの本をどさと渡されました。とりあえず「株式公開のやりかた」というセミナーを予約。しかし私がコンサル(のアシスタント)とは、TOKIOってこわいかもです。がんばります。生き延びなくちゃ。

 あ、まだ5時だ。まだいろんなことができる♪ 

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ローレンス・ブロック「すべては死にゆく」

 (元)アル中探偵マット・スカダーの16作目。シリーズ初登場から実に30年たっている。私が初めて読んだのは日本初登場の12年くらい前(笑) アルコール中毒を克服しようとしている人たちの団体、AA、Alcoholics Anonymousを私はこの本で知った。そして最新刊、60代も半ばになったスカダーはやっぱりAAの集会に通い「××と言います、アル中です」なんていう告白の場に参加しているのだ。重い。アルコール中毒のことを書いた本は「失踪日記」「失点・イン・ザ・パーク」と2冊読んだけど、あれって幻覚真っ最中のときより、お酒をやめようと決心してからが何千倍もたいへんなのかもしれないな。

 途中ちょっと読むのきつかったんですよ、例えば。

 時代を反映してメールにチャットにニュースグループの掲示板、デイトレードにダイレクトマーケティングと今風の言葉がちりばめられているけど、なぜかそのあたりはリアリティゼロ。そこらへんのハイテク関係ならパトリシア・コーンウェルのほうがずっとうまいし、逆にピーター・ラヴゼイみたく頑固爺刑事が「このオレがそんなもん使うか!」と言い張って警察署内で波風たてまくる、なんていうほうがミステリーの枠組みの中では妙にリアルだったりする、ミステリーってあくまでファンタジーなわけだから。

 そんでこの殺人事件がまたなんともいやな感じ、もうそんなに猟奇的殺人魔の心理描写に紙面を費やさなくていいですよ、もうね世間は癒しとスピリチュアルと運命の大恋愛を求めているわけですよ、なんかこんなひどいことやる人の心理とか知りたくないですよ、読んでるのつらいです。

 っていう感じで、「やっぱり私はこのシリーズは苦手かも」って何度も思ったんだけど。 

 でも読み終わったらなんか妙な爽快感があった。このシリーズの魅力はやっぱりこのスカダーというキャラクターなんだな。重苦しいし読むのしんどいんだけど、読み終わったあとには、昨今のいやなニュースでげんなりしてる気分をスカダーが代わりに引き受けてくれてるみたいな、妙にすっきりした気持ちになるのです。誰にでもできる(書ける)ことじゃありませんね。質のいいエンターテインメントってこういうものなんだな、と感じ入りました。ずっしり重くて面白かったです。

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田口久美子「書店繁盛記」

 80年代のリブロを経て97年にジュンク堂に移籍した書店員、田口久美子さんの書店裏話。もうすごい臨場感ですよ、ぜんぶ面白かったけどジュンク堂新宿店オープンのくだりは記憶に新しいだけに圧巻。リブロの話はあんまりぴんとこなかったけど(あの頃私は別の星に住んでたので)、理工書やボーイズラブやライトノベルスがこんなに奥深いものだったとはっ。

 そうそう、私もありましたよ、ジュンク堂じゃないけど某書店で上下2巻のミステリーを買ったら、カバーは下巻なのに中身は上巻だったこと。つまり上巻を読み終わってわくわくして下巻を開いたらまた最初から始まってしまったのですよ、上巻が2冊だったんですよ、書店に交換してもらいにいったとき、私は自分を抑えたつもりだった、でも書店員さんはびびってたと思う、いやーあのときお店にあってよかったわ、在庫がありませんお取り寄せです2週間かかりますとか言われたらあばれてたかもしれません、ていう顔をしてたかもしれません、いやだわあたしったらはしたない、ごめんなさい~、などと客としての自分をふりかえってしまったのでした。


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まんがのフリー・マガジン

 上司がまんがのフリー・マガジン「コミック・ガンボ」をもらってきた。今のとこ首都圏主要駅での配布らしい。ウェブ会員になれば無料で読めるとのこと。少年・青年まんがのジャンルはよく知らないけど、江川達也さんとか村上もとかさんとか私でも知ってるビッグネームも執筆している。発行元は(株)デジマ、web2.0的展開もされていくそうな。中身は・・・、んと、みんな絵がうまいなーと思ったっていうか。すんません、このへんぜんぜん勘が働きません。

 「無料漫画誌」今日創刊 東京新聞 1月16日

 反射的に感じたのは、この会社の人たちはほんとにまんがが好きなんだろうか? ということ。ビジネスモデルとしてうまみがあるかどうか、だけでやりはじめたとしたら絶対失敗するだろうと。思いついたのは、広告収益モデルなら新人発掘はむずかしいんじゃないかということだった。既存の名前のとおってる作家さんが描いてないとクライアントがつかないのでは? と。

 あ、そういうおじさんおばさんたちのために江川達也氏とか村上もとか氏とかがかつぎだされたのか。

 でも成功すれば、ウェブにむいてる作家さんとか携帯というメディアに強い作家さんとかが開拓されるだろうし、そういうコミックの新しいありかただってあるのかもしれないなー。大手出版社じゃなくては新人が育てられないって発想しちゃう時点で、かなり頭がかたくなってるかも>私。その点ちょっと反省。

 あ、こうしておじさんおばさんたちが思わず投資しちゃったりするのか。上場はいつですか? 気が早すぎましたでしょうか(笑)

 株式会社デジマ

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古川日出男「僕たちは歩かない」

Photo_3 私はこの人ファンだから、というかこの人の書く本のファンだから、もうなんでもいいのです(笑) なんでフレンチ修行中のシェフの卵たち? とかなんでこのタイトル? とかなんでこういう展開? とかいっぱいついていけなかったんですが(笑) 言葉を読む快感ていうのがすごいあって私は好き。言葉じゃなくてはできないこと。気持ちいい。そして星野勝之さんのイラストがかっこいいんだよな。あとカバーの紙の手触りとか。今回の舞台は大雪の日の山手線です。この作家は毎日通勤やなんかで乗っかる山手線にぜんぜん違うものを見出すのです。

 しかしほんと中身を書かずに本の感想書くのってむずかしいわね。なんだろ、幻視者としての古川日出男の資質がどうのとか書けばいいんかな。私には無理じゃ(苦笑) しかし作家研究をしたいわけではないので(なんかそういうのってストーカーっぽいような気がしてしまう)、「あー面白かった」といって読んでればいいんだ、私の場合。

古川日出男「僕たちは歩かない」

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ずぼんが乾かないのでブログが書けない

 「の」のつくドラマ、毎回もらい泣きしそうになりつつはや最終回のいっこまえ。音楽まんがで音がでるっていうのがこんなに楽しいものだとは。来週もいそいで帰ってきてみなくては。クリスマスだけど(笑)

 さて最近、図書館サイトの蔵書検索・予約を利用しています。区内の図書館にある本を最寄の図書館まで届けてくれるのです。調子にのって予約しまくっていたら大量に本が届いてしまいました。なんで一度にくるのでしょうか。ジャン・フィリップ・トゥーサンから藤原和博、アガサ・クリスティーにラヴゼイ、奥田英朗まで。

 部屋の整理をしてソファーから死角になるところに洗濯物をかけるくぎをうったらそこはパソコンの真上であったのであり、インタアネットを見ようとすると天井から釣り下がっているずぼんだとかシイツだとかをかきわけなくちゃならないのでちょっとブログから遠ざかり気味(乾かないから)(ずぼんが)

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「禁煙セラピー」の著者、肺がんで死亡

Smoking 喫煙者です。肺までは吸い込んでないんですけど。一日、一箱弱くらい。うちでひとりでいるとひまだからです。どう考えてもいいことなんかないのに、さすがに「これは中毒である、ビョーキである」と自覚してきました。何年も、

「あーやめればいいのになー、なんか煙草があると灰皿のまわりがなんとなく汚いのよね・・・ だいたい、コットンパックだのビタミンサプリだの飲むより煙草をやめるのがお肌に一番いいのわかってるし。出かけてもすぐ煙草が吸えるところ探しちゃうし。バカみたい・・・」

 と思い続け、それでも「いやでもひまなんだよねー・・・」という動機でやめられなかったのです。そして今もやめていません。こんど、IDカードがないと買えなくなるんですよね。IDカード取得申請はしないつもりです。そしたらいくらなんでもやめるだろう・・・ どうだろ、自信ない。といってニコチンパッチとかニコチンガムとか納得できないわけですよ、なんでやめようとしてるのに別の方法でニコチンを摂取しなくてはならないのだろうか。私の場合、ニコチン自体はそんなにすいこんでないと思われるので逆効果になりそうですよ。

 そんな私がそれでもちょっとでやめそうになったのがアレン・カーの「禁煙セラピー」。だいたい、アメリカのセラピー系ハウツー本って、効果のある人にはすごくあるわけですよ、もうほとんど「洗脳」って感じです。私はテレビドラマを見ても本を読んでもものすごく燃費がいいので(暗示にかかりやすい?)、これは効果がありました。一週間くらい。もうちょっとしたら読み直してまたトライしよっかな・・・。・・・が多いのは弱気な証拠なのですが。

 しかし亡くなった原因が肺がんてオチみたいだなー。きっと冗談の通じる方だったのだと思います。ご冥福を祈る。

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クラシック音楽の政治学

Classics 青弓社「クラシック音楽の政治学」を読む。音楽学とか社会学の先生がクラシックの周辺とか政治との関わりとかを書いた本。クラシックを10年くらい聴いてる人ならけっこう知ってるような話ばかりかも? と思ったものの、私はクラシック切り口でものごとを眺めたことがなかったので面白かった。

 1920年頃から1990年代頃まで、クラシックがどういう風に聴かれてきたか。最初は進取性に富む若者が愛好し、でもそれはヨーロッパでそうだったように社交に有利なものというよりは、苦学生が名曲喫茶で自分の殻に閉じこもって聴くような聴き方で、だから大人になるとあんまり聴かなくなったらしい(仮説)とか。

 その中でもアカデミズムの世界の人が学問を楽しむようにクラシックにはまった、とか。その流れで1970年くらいまではヨーロッパのホンモノをありがたく拝聴する傾向があったけど、バブル期にどういうわけか「癒し系ワールドミュージック」の一環みたいな感じで大ブームになったとか。私この頃ぜんぜん知らないんですよね。大ブームったって、関心のない人間には全くといっていいほど届かないものなのね。「ブルガリアンボイス」はちょっとなつかしかったけど。1991年のモーツァルト没後200年記念の便乗ビジネスとして、「モーツァルトを聴かせて醸造した日本酒」売上目標1500万円とかいう例があげられていて爆笑する。ちなみにマイルス・デイビスが死んだのがこの年。

 惜しいのはこれ2005年4月刊行の本なので、ラフォルジュルネ日本上陸にも「のだめ」をはじめとするクラシック漫画にも、テレビドラマ「結婚できない男