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2011.05.05

岡部えつ「新宿遊女奇譚」

 私は「女の哀しさ」を描いた物語ってあまり好きだと思ったことがない。女性が書けば自己憐憫や共感できないプライドが鼻につくし(その印象はそのまま自分に返ってきてしまうのだが)、男性が書けば「ふーんこの作家はこういう女の人が好みなんだ・・・」としか思えないことが多い。私もたいがい偏屈だが、そういうつまらなさに陥りやすいテーマだと思う。でもこの作者はそんなの重々わかっていて、その「女の哀しさ」を残酷なくらい突き放し何重にも仕掛けをする。

 古色めかしさと現代のセンス、幻想と現実、俗っぽさと気高さが交錯する舞台に時空を超える矢がぐっさり突き刺さるその技に酩酊。おこがましいが、「うまいな~」と爽快でさえあった。巻頭の一篇は、事故以前の着想であっただろうが原発問題を指摘しているようにも見えるし、ラストの一篇は、現代を描こうとするとまど☆マギのほむらのような事態に陥るのかとも思わせる(ほむらと違ってこちらはもっとしたたかで太々しいのが魅力なのだが)。橋本治「巡礼」がゴミ屋敷の住人をフックに昭和の時代を描いたように、新宿の女を描くのに思いもかけない人物の裏側を見ることにもなる。私この人そのうち大きな賞をとると思う。堪能いたしました。

弦楽四重奏でスーパーマリオブラザーズ3を演奏してみた人たちがいる

Ensemble Game Classica

2011.02.27

朝吹真理子、西村賢太

 あ、そうか。私、両方とも好き。とまた中学生のような感想をつぶやく。

 中日BookWeb

 きことわ 
 [著者]朝吹 真理子 著
 新潮社 / 1260円
 [評者]栗原 裕一郎(評論家)
 時間・夢・記憶を自在に操る

 ”「前衛」という言葉をつい浮かべると同時に、懐かしいものを読んだ気分も立つ。私小説という“古い”方法に就く西村賢太と、前衛を想起させる“懐かしい”技術を採る朝吹が、芥川賞同時受賞というかたちで並んだ事実は文学の現在をよく象徴していた。むろんそれは週刊誌などに躍った「格差」うんぬんとは何ら関係のないことだ。"

 この方の批評はいつもすごく公平で大好き。

 

ボッシュの絵にでてくる妖怪? のフィギュア

 横浜美術館のサイトで発見。お誕生日にこれ欲しい!ボッシュの絵にでてくる妖怪? のフィギュア。

 横浜美術館ミュージアムショップ 

第3回恵比寿映像祭

 印象に残ったものをいくつか。

 ダヴィッド・クレルボ「幸福なモーメントの諸断面」ボール投げの楽しげな一瞬が、あらゆる角度から撮影される。その緻密な組み立てに微笑ましさとは対局の底意を感じてぞっとする。写真ていろんなことができるんだな。

 幸福なモーメントの諸断面

 黒坂圭太《『緑子/MIDORI-KO』初期段階のキャラクター設定ボード》デッサンを見ただけだけど、ボッシュのような不思議ワールドに引きこまれる。どういうアニメなんだろ?

  『緑子/MIDORI-KO』初期段階のキャラクター設定ボード

 松本力《終わりを照らすもの》2010 これもデッサンなんかな。闇と光の境とか、胎内と外界の境とかそういうものを連想した。

 終わりを照らすもの 

 映像の上映される部屋は暗くて仕切られているので、美術館自体が手探りで進む迷路のよう。小説を読んでずるっと非現実的、非日常的な世界にはまりこむのと同じ。創作の源ってなんなんだろう?

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