岡部えつ「新宿遊女奇譚」
私は「女の哀しさ」を描いた物語ってあまり好きだと思ったことがない。女性が書けば自己憐憫や共感できないプライドが鼻につくし(その印象はそのまま自分に返ってきてしまうのだが)、男性が書けば「ふーんこの作家はこういう女の人が好みなんだ・・・」としか思えないことが多い。私もたいがい偏屈だが、そういうつまらなさに陥りやすいテーマだと思う。でもこの作者はそんなの重々わかっていて、その「女の哀しさ」を残酷なくらい突き放し何重にも仕掛けをする。
古色めかしさと現代のセンス、幻想と現実、俗っぽさと気高さが交錯する舞台に時空を超える矢がぐっさり突き刺さるその技に酩酊。おこがましいが、「うまいな~」と爽快でさえあった。巻頭の一篇は、事故以前の着想であっただろうが原発問題を指摘しているようにも見えるし、ラストの一篇は、現代を描こうとするとまど☆マギのほむらのような事態に陥るのかとも思わせる(ほむらと違ってこちらはもっとしたたかで太々しいのが魅力なのだが)。橋本治「巡礼」がゴミ屋敷の住人をフックに昭和の時代を描いたように、新宿の女を描くのに思いもかけない人物の裏側を見ることにもなる。私この人そのうち大きな賞をとると思う。堪能いたしました。





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